壽倉雅

日本の脚本家、そして劇作家として活動する壽倉 雅（すくら みやび）は、1995年（平成7年）11月3日、愛知県刈谷市に生を受けた。幼少期から物語の世界に深く魅せられ、そのキャリアは言葉の力で人々の心を揺り動かすことへの強い情熱から始まっている。

彼が脚本家への明確な道を意識し始めたのは、小学4年生の時。国語の授業中、担任の先生が朗読した単元作品に感極まって涙する姿を目の当たりにし、「文字だけで人の心を感動させたり、楽しませたりできるなんて、なんてすごいのだろう」と強い興味を抱いたことが、創作活動を始める決定的な契機となった。

愛知県立一色高等学校を卒業後、2014年（平成26年）に名古屋コミュニケーションアート専門学校（現在の名古屋デザイン&テクノロジー専門学校）総合デザイン科シナリオライター専攻へ進学。専門学校在学中は、学業に励む傍ら、学園祭や制作展、新入生歓迎会の実行委員などを務め、「いかに学校生活をエンジョイするか」を追求する日々を送った。また、この時期からフリーペーパーでインタビュー記事やコラムの執筆、小説の連載を行うなど、ライターとしての活動も開始している。

脚本家としてのプロデビューは2016年（平成28年）。自主映画制作チームでの活動を通じて得た縁から、YouTubeドラマ『きゅんドラ #58』の脚本を手掛ける機会を得た（作品の公開は2017年1月）。これを皮切りに脚本家としての歩みを始め、YouTubeやラジオドラマなどで経験を積む。2018年（平成30年）5月には、千葉テレビ（チバテレ）で放送された深夜ドラマ『ブラックモノローグ』で、初めて地上波テレビドラマの脚本を担当した。

2024年（令和6年）1月からは、活動名義を現在の『壽倉雅』に改めている。

壽倉氏が自身の創作に影響を与えた脚本家として挙げるのは、橋田壽賀子、倉本聰、向田邦子、平岩弓枝、山田太一、宮藤官九郎、三谷幸喜、中島丈博、浅野妙子といった日本を代表する面々である。特に、幼い頃から感銘を受け、今も深く尊敬している橋田壽賀子氏と倉本聰氏からは、それぞれの名前から一文字ずつを拝借し、自身の「雅」という名前に込めたことを明かしている。

学生時代は、国語の授業を好み、国語と家庭科の成績が特に優秀だったという。一方で、体育は極端に苦手で、「体育」という文字を連絡帳に書くだけで拒否反応を起こすほどだったと語る。高校3年時には体力テストで学年最下位を記録したほどの苦手意識から、体を動かすことを好まず、インドアな傾向が強い。本人は「普段、鉛筆より重たいものは持たない」と冗談めかして言うほどである。

また、演劇経験があることが、舞台脚本を手掛ける上で大きな助けとなっている。執筆作業に関しては、タッチタイピングが得意でパソコンでの作業は迅速に行えるが、尊敬する脚本家たちの影響を受け、時には手書きで原稿を書くこともあるという。原稿用紙は200字詰めを好む。

これまでに手掛けた主な作品は以下の通り。

テレビドラマ
ブラックモノローグ（2018年、チバテレ）
木陰の女たち（2019年、チバテレ）
YouTubeドラマ
きゅんドラ（#58「お花屋さん」、#69「まかない」）
ザ・ムーブ（#24「スカッと 華麗なる逆転劇」、#25「忘れられない人」）
配信映画
ピースオブマッドシティ（2017年制作・2023年公開、Amazon Prime）
ミュージックビデオ（構成担当）
ゆーちゃそ王子「これからも…」（2016年）
ココロリポート「#MVココロ日記」（2018年 - 2019年） - 共同脚本
#5「chocolate 〜忘れられない恋の歌〜」
#6「girl's talk〜女子会〜」
#7「蜂蜜ブンブ〜女の知的なズルさと甘さ〜」
#8「真夜中パラドックス〜失恋song〜」
#9「金魚鉢〜大切な人を想う歌〜」
#10「home」
ラジオドラマ
ホンマルラジオ内妄想ノトビラ「不本意ワンナイト」（2021年）
デートDV啓発ラジオドラマ「これって、DVかも？」（2021年）
舞台
声優朗読会「忠臣蔵 吉良上野介義央公物語〜運命を背負った男〜」（2022年）
その他
市民防災ドラマ「ぼくらが救った命〜市民トリアージ」（2019年）

言葉の力を信じ、多岐にわたるメディアで物語を紡ぎ続ける壽倉雅氏の今後の活動が注目される。

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