夏の夜の海

シングル「夏の夜の海」について

『夏の夜の海』は、1983年7月1日にリリースされたチューリップの23枚目のシングルである。この作品は、前作からわずか4ヶ月という短い間隔での発売で、チューリップの活動における意欲的な姿勢が感じられる。シングルのジャケットには、南国のヤシの木の写真とメンバーの姿が配置されており、夏の雰囲気を醸し出している。

この曲の特徴的なポイントは、ボーカルの財津和夫によるファルセットの歌唱である。ファルセットは高音域を使用する技法であり、特にこの曲ではその魅力が際立っている。特筆すべきは、1984年に行われた芦ノ湖でのライブパフォーマンスにおいても演奏されたことだ。このライブは「Live act TULIP TULIP LAND in 芦ノ湖 8・11パゴタ」というタイトルで、ファンにとって印象に残る出来事であった。また、財津は過去に音声加工されたハイトーンを披露した『ともだちのあなただから』という曲もあり、これとはまた異なる挑戦を音楽面で行った。

実は『夏の夜の海』は、初めは他のアーティストへの提供曲として制作されたが、結果としてその依頼は成立しなかった。後年、財津は「出発点が自分ではなかったからサウンド面や歌唱面で嘘の衣を着せて、新しいことへの挑戦ができた」と語り、この楽曲に対する取り組みや思いを述べている。

シングルのB面には、『Halo』からリカットされた曲が収録されている。この楽曲も自らの独自のスタイルが演出されており、歌詞には「ルソーが描いた絵」というフレーズが登場するほか、滅亡した地球をテーマにしたアルバムのコンセプトに合わせ、「地球が終わりになる前に」という印象的な歌詞が含まれている。

このシングルの発売に合わせて、チューリップは多くのプロモーション活動を展開した。渋谷の公園通りが「TULIPストリート」と称され、さらに渋谷PARCOの壁にはジャケットのアートが描かれるなど、その注目度の高さがうかがえる。

収録曲

• - 夏の夜の海
• - コスモスの咲く郷

全ての曲は財津和夫による作詞と作曲が行われ、編曲はチューリップ自身による。1983年という時代背景の中で、このシングルは多くのリスナーに愛される楽曲となった。音楽の構成や歌詞の内容は、聴く者に深い印象を与え、財津の独特な音楽センスがいかんなく発揮されている。

関連項目

• - 1983年の音楽

このシングルの成功は、チューリップの歴史において重要な位置を占めるものであり、彼らの多様な音楽スタイルへの挑戦の象徴とも言える。

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