芦ノ湖

芦ノ湖（あしのこ）

芦ノ湖は神奈川県足柄下郡箱根町に位置し、雄大な箱根山のカルデラ内にできた美しい湖です。この湖は神奈川県南西部にあり、県内最大の湖でもあります。その水系は早川に属し、二級河川としての役割も果たしています。湖の水は主に湖底から湧き水として供給されており、その多くは北側の仙石原から流出する早川の水源となっていますが、水利権の制約により、通常の放水は行われていません。

湖畔には観光名所やリゾート施設が多く、訪れる人々は自然の美しさに癒されます。特に富士山を望むことができる景観は圧巻で、四季折々の風景が楽しめます。また、毎年正月には東京箱根間往復大学駅伝競走が開催され、湖は往路のゴール及び復路のスタート地点として賑わいます。

湖上では、小田急電鉄系列の箱根海賊船と富士急行系列の芦ノ湖遊覧船が運航されており、それぞれ異なる船着き場が設けられています。観光の目的地に応じた利用が可能で、特別な割引券やフリーパスも用意されています。

また、芦ノ湖は釣りスポットとしても人気があります。特に、ニジマスやブラックバスなどの魚が生息し、これらの魚は外国から導入されたものです。ブラックバスは1925年に赤星鉄馬によって日本に初めて放流されて以来、バスフィッシングの名所として知られるようになりました。

芦ノ湖の水利権は静岡県側にあり、神奈川県側では通常の利用が制限されています。ただし、渇水や増水の緊急時には湖の水を利用できる特例が設けられています。神奈川県は構造物の維持管理などを行い、水質保全にも力を入れています。

湖岸に沿って作られた遊歩道は散策に適しており、数カ所にはベンチが設置されています。特に真田浜の砂浜は広がり、ピクニックを楽しむ人々にとって格好のポイントとなります。その眺望は駒ヶ岳を背景にしており、多くの観光客を魅了しています。

歴史

芦ノ湖は約3000年前に箱根火山のカルデラ内で成層火山の神山が起こした水蒸気爆発とその影響によって形成されました。この山体崩壊により、早川が堰き止められ、現在の湖が誕生しました。

伝説によれば、757年には万巻が箱根神社を建立し、芦ノ湖に棲む九頭龍を鎮めたとされています。この神社は現在も多くの参拝者を集めています。

江戸時代には、深良村の名主である大庭源之丞が芦ノ湖から灌漑用の用水路を開発し、その工程は1670年に完成しました。この用水路は現在も利用されており、日本の知名度の高い用水の一つとして認められています。

水利権を巡る争いが静岡県との間で続いた結果、大正時代には静岡県に権利が確定しました。1911年からは芦ノ湖遊覧船の運航が始まり、1950年には箱根観光船のサービスもスタートしました。

近年では、2019年の台風による大雨で湖が氾濫し、周辺の観光施設が被害を受けましたが、洗練された観光地として再生が進められています。

生物相

芦ノ湖には多くの魚類が生息しており、特にニジマスやブラウントラウト、オオクチバスが有名です。釣り愛好家にも人気のスポットで、すでに多様な種類の魚が確認されています。地元の郷土料理では、ワカサギやニジマスの天ぷらが特産品として親しまれています。

このように、芦ノ湖は美しい自然環境と豊かな歴史、また様々な楽しみを提供する地域として、多くの人々に深く愛されています。

もう一度検索