夏休み (爆裂聖飢魔IIの曲)

聖飢魔IIの真夏の異形：爆裂聖飢魔IIと「夏休み」

1991年、日本のヘヴィメタルシーンに衝撃が走った。聖飢魔IIが、期間限定ユニット「爆裂聖飢魔II」を結成し、シングル「夏休み」を発表したのだ。聖飢魔IIにとって13枚目のシングルとなるこの作品は、彼らの音楽性を新たな次元へと押し上げる、革新的な試みだったと言えるだろう。

爆裂聖飢魔IIは、メンバー全員が「爆裂」を冠した名前に改名し、蛍光色を多用した派手な衣装をまとい、聖飢魔IIとは一線を画した活動を行った。この異様なまでの変貌ぶりは、彼らの音楽的探求心、そしてエンターテイメント性を追求する姿勢を象徴している。

シングル「夏休み」のA面には、タイトル曲「夏休み」が収録されている。この楽曲は、日本の唱歌「故郷」と童謡「静かな湖畔の森の影から」の歌詞を引用するという、大胆な試みで話題を呼んだ。高野辰之、岡野貞一といった、日本の音楽史に名を残す作曲家たちの作品が、聖飢魔IIのヘヴィメタルサウンドと融合する。この意外性と斬新さが、聴く者の心を捉え、聖飢魔IIという存在の多様性を浮き彫りにした。

「夏休み」の作曲には、爆裂Sgt. ルーク篁III世が、岡野貞一と共に関わっている。編曲は爆裂聖飢魔IIと爆裂マツザキ様という、豪華な布陣だ。そして作詞には、爆裂デーモン小暮と高野辰之の名が刻まれている。伝統的な日本の楽曲とヘヴィメタルという、一見すると相反する要素が、見事に調和し、唯一無二の楽曲を作り上げている。

カップリング曲には「伝説のチャンバー・ライダー」と「BLACK BASS」が収録されている。「伝説のチャンバー・ライダー」は爆裂デーモン小暮による作詞作曲、「BLACK BASS」は爆裂デーモン小暮の作詞と爆裂Sgt. ルーク篁III世の作曲という、爆裂聖飢魔IIの個性が際立つ楽曲となっている。編曲は両曲とも爆裂聖飢魔IIと爆裂マツザキ様によるものだ。これらの楽曲も、爆裂聖飢魔IIのヘヴィメタルサウンドと、彼らの独特な世界観が存分に発揮された作品である。

「夏休み」は、聖飢魔IIの音楽的探求心と、エンターテイメント性を追求する姿勢を端的に示す作品と言えるだろう。ヘヴィメタルという枠にとらわれず、日本の伝統的な音楽を取り込むことで、新たな音楽的可能性を提示し、聴く者に深い印象を与えた。このシングルは、聖飢魔IIというバンドの幅広さ、そして彼らの創造性を証明する、重要な作品として、日本の音楽史に刻まれたと言える。爆裂聖飢魔IIという期間限定ユニットによる、唯一の作品という点においても、その希少性と価値は高い。彼らの活動は短期間ではあったが、音楽史に大きな足跡を残したと言えるだろう。

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