夏貴

夏貴（か き）

夏貴（1198年 - 1280年）は、南宋末期の将軍として知られています。

生涯

1260年以降、モンゴル帝国（後の元）による南宋への侵攻が激化する中、淮南を守備していた夏貴は、モンゴル軍の猛攻に苦戦を強いられました。しかし、彼は郭侃やバヤンといったモンゴル側の名将を幾度となく窮地に陥れるなど、その武名は広く知られるようになりました。

1264年には、四川安撫制置使、知重慶府、四川総領、夔路転運使に任命され、四川方面へ赴任。大軍を率いてモンゴル側の前線基地である虎嘯山を包囲しました。しかし、虎嘯山を守る張庭瑞は兵士を巧みに指揮し、数ヶ月にわたる籠城戦を展開。援軍として到着した焦徳裕らの活躍により、夏貴は敗北を喫しました（虎嘯山の戦い）。

その後、呂文煥が守る襄陽への援軍として派遣されますが、中央の権力者である賈似道の妨害に遭い、さらにモンゴル軍によって水軍が壊滅させられたこともあり、十分な成果を上げることができませんでした。1275年、賈似道による元討伐軍に参加しますが、蕪湖の戦いにおいて元軍に大敗。都である臨安への道を元軍に遮断されたため、淮西に逃れ、徹底抗戦を試みます。

しかし、1276年に臨安が陥落し、恭帝が降伏したことを知ると、恭帝の身を案じた夏貴は、バヤンの説得を受け入れ、元軍に降伏しました。

降伏後は元の官職を授けられ、弘安の役では蛮子軍（降伏した南宋の軍勢）の司令官に任命されるなど、重用されたようです。しかし、出兵前に心ここにあらずの状態であり、失意のうちに病死しました。人々は、「なぜ、彼のような忠臣が79歳で亡くならず、83歳まで生きてしまったのか（降伏時の年齢が79歳であった）」と、その死を惜しんだと言われています。

参考資料

李天鳴『宋元戦史 第2冊』食貨出版社、1988年
『新元史』巻177列伝74夏貴伝

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