夕陽に向って走れ

夕陽に向って走れ：1909年、アメリカ西部の悲劇

1969年公開のアメリカ映画『夕陽に向って走れ』（原題：Tell Them Willie Boy Is Here）は、1909年にカリフォルニア州で実際に起きた事件を基にしています。ロバート・レッドフォード、キャサリン・ロス、ロバート・ブレイクら豪華キャストが出演し、アメリカ西部の雄大な自然と、悲劇的な運命を辿る人々の姿を描き出しています。

物語の始まり：運命の歯車

物語は1909年のカリフォルニア州を舞台に、先住民の青年ウィリー・ボーイと彼の恋人ローラを中心に展開します。二人は結婚を誓いますが、ローラの父親に反対され、口論の末、父親を誤って殺してしまいます。絶望と恐怖に駆られたウィリーとローラは、山深い地へと逃亡します。

追跡劇：保安官クーパーの葛藤

彼らの逃亡劇を追うのは、保安官クリストファー・クーパー（ロバート・レッドフォード）。しかしクーパーは、大統領の警護任務のため、追跡を中断して町へ向かう必要に迫られます。この選択が、物語全体に大きな影を落とすことになります。

ウィリーとローラは、追跡隊と銃撃戦を繰り広げ、白人の男を射殺します。この事件は、たちまち尾ひれをつけ、マスコミは「政府転覆を狙う先住民の集団」と大々的に報道。世論は過熱し、ウィリーへの追及は激しさを増していきます。

大統領警護の任務を終え、現場に戻ったクーパーは、衝撃的な光景を目にします。それは、ローラの死体でした。自殺なのか、ウィリーの仕業なのかは不明ですが、ローラは一発の銃弾で命を落としていました。

ローラの死は、クーパーに深い衝撃を与えます。彼は、追跡の責任、そしてウィリーに対する複雑な感情と葛藤しながら、一人、ウィリーの潜む山へと向かいます。

悲劇の結末：夕陽の下で

山中の岩場にて、クーパーはウィリーを追い詰めます。弾薬を使い果たしたウィリーは、最後の抵抗として、弾の尽きたライフルをクーパーに向けて立ち向かいます。そして、ウィリーは射殺されます。

映画は、壮大なアメリカの自然と、人々の運命の悲劇的な交錯を描いています。ウィリーとローラの逃亡劇、クーパーの葛藤、そしてマスコミの煽動が複雑に絡み合い、観る者に深い余韻を残す作品となっています。

キャストとスタッフ

クリストファー・クーパー：ロバート・レッドフォード
ローラ：キャサリン・ロス
* ウィリー・ボーイ：ロバート・ブレイク

監督・脚本：エイブラハム・ポロンスキー

製作：フィリップ・A・ワックスマン、ジェニングス・ラング

原作：ハリー・ロートン

映画『夕陽に向って走れ』は、歴史的事実を基にしながらも、登場人物たちの感情や葛藤を丁寧に描き、人間の業や運命の残酷さを問いかける、見応えのある西部劇です。美しい風景と、切ない物語に魅了されることでしょう。

もう一度検索