外務公務員法

外務公務員法（がいむこうむいんほう）

外務公務員法は、昭和27年3月31日に法律第41号として公布され、同日に施行された日本の法律です。西暦では1952年にあたります。この法律は、外務省に勤務する公務員、すなわち外務公務員に特有の職務内容や責任の特殊性を考慮し、一般職国家公務員に適用される国家公務員法（昭和22年法律第120号）に対する特別な規定を設けることを主な目的としています。

外務公務員は、その勤務の性質上、国内だけでなく国外での活動が多く、外交交渉や在外公館での業務など、高度な専門性や国際的な感覚が求められます。また、赴任先での治安や生活環境の課題など、一般の国家公務員とは異なる状況に直面することもあります。外務公務員法は、こうした職務や勤務地の特殊性に対応するため、国家公務員法で定められている一般的な人事制度の原則を踏まえつつも、外務公務員に合わせた任用、給与、服務、能率評価、身分保障などに関する細則や特例を定めています。

さらに、この法律は外務公務員に関する事項だけでなく、名誉総領事や名誉領事といった無給の名誉職の委嘱、および外務省で働く外国人職員の任用についても規定を設けています。これにより、多様な形態での外務省における活動や協力体制を法的に位置づけています。

外務公務員法の構成は以下の通りです。

第一章 総則（第1条 - 第4条）：法律の目的、定義、基本原則などを定めています。
第二章 標準的な官職（第5条・第6条）：外務公務員に適用される官職の基準などについて規定しています。
第三章 任免（第7条 - 第12条）：外務公務員の採用、昇進、降任、異動、休職、免職などの人事異動に関する手続や基準を定めています。
第四章 給与（第13条）：外務公務員の給与に関する規定です。在外勤務手当など、特殊な勤務形態に応じた給与体系に関わる事項が含まれます。
第五章 能率（第14条 - 第16条）：勤務成績の評価や研修など、外務公務員の職務遂行能力の維持・向上に関する規定です。
第六章 保障（第17条 - 第22条）：意に反する不利な処分からの保護や災害補償など、外務公務員の身分保障に関する規定です。
第七章 服務（第23条）：職務上の義務や服務規律に関する規定です。
第八章 名誉総領事及び名誉領事並びに外国人の任用（第24条・第25条）：名誉職の委嘱や外国人職員の任用に関する特例を定めています。
第九章 雑則（第26条 - 第28条）：その他の細目や補足的な規定です。
附則：法律の施行に伴う経過措置などが含まれます。

この法律は、第二次世界大戦後に日本の主権が回復し、国際社会への復帰が進む中で、戦後日本の外交体制を支える公務員の人事制度を整備するために制定されました。外交活動の基盤となる人材を確保し、その活動を円滑かつ効果的に行う上で重要な役割を担っています。

関連項目

国家公務員
外交官
* 国家公務員法

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