外務省 (インド)

インド外務省（Ministry of External Affairs - MEA）

インド外務省（ヒンディー語：विदेश मंत्रालय、英語：Ministry of External Affairs、略称：MEA）は、インド政府の中核をなす行政機関の一つであり、インドの外交政策の策定と遂行、そして対外関係全般を司る重要な役割を担っています。

役割と機能

外務省の主要な任務は、世界の各国や国際機関との関係を構築・維持し、インドの国益を守り、国際社会におけるプレゼンスを高めることにあります。具体的には、二国間・多国間交渉、条約締結、在外公館の運営、海外におけるインド国民の保護・支援などを行います。また、インド国内の他の省庁や州政府が外国の政府機関と交渉を進める際には、外交の専門機関として必要な助言を提供します。これにより、インド全体の対外活動における整合性と専門性を確保しています。

組織構造

外務省の組織は、地理的または機能的な分担に基づいた多数の部局によって構成されています。特に特徴的なのは、世界各地との外交を専門的に扱う地域担当局の存在です。これらの局は、特定の国や地域との関係強化、情報収集、政策立案などを担当しており、多岐にわたる地域を網羅しています。例えば、東アジア局は日本や中国、韓国といった国々を、西欧局はイギリスやフランス、ドイツなどの西ヨーロッパ諸国を、Gulf局は中東の湾岸諸国を、そして南部局はオーストラリアやASEAN諸国、太平洋島嶼国などを担当しています。他にも、北米を担当するAMS局、バングラデシュやミャンマーを担当するBM局、中央アジアや東欧をカバーするユーラシア局、アフリカ大陸を東西に分けて担当する中央・西アフリカ局や東・南アフリカ局など、実に多様な地域を専門とする部署が置かれています。さらに、LAC局（ラテンアメリカ・カリブ諸国）、北部局（ネパール、ブータン）、PAI局（パキスタン、アフガニスタン、イラン）、西アジア・北アフリカ局などがあり、インドの外交活動がグローバルに展開されていることが分かります。

国内においては、主要都市に地方支局が設置されています。これらの支局（例：ハイデラバード、チェンナイ、コルカタ、ゴウハティ、ムンバイなど）は、在外公館と連携しつつ、パスポートや査証関連の業務、海外のインド国民への支援に関する窓口業務など、国民向けのサービスを提供しています。

幹部体制

外務省の幹部は、政治任用される大臣と閣外大臣を頂点とし、その下に実務を担う職業外交官が配置されています。行政のトップには外務次官（Foreign Secretary）がおり、組織全体を統括します。外務次官の下には、担当分野ごとに複数の事務次官（Secretary）が置かれ、さらにその下に多数の副次官（Additional Secretary）や次官補（Joint Secretary）が配置されています。次官補は、各内部部局の実質的な責任者として、日々の業務の計画、実行、統括といった重要な責務を担っています。

このような組織構造と幹部体制により、インド外務省は複雑かつ広範な国際情勢に対応し、国家の外交戦略を効果的に推進しています。インドが国際舞台での存在感を増す中で、外務省の果たす役割はますます重要になっています。

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