外国人登録制度

外国人登録制度とは

外国人登録制度は、かつて日本に在住する外国人を対象として、市区町村が管理していた住民登録制度です。1952年の外国人登録法に基づき運用されていましたが、2012年7月に廃止され、現在は在留カード制度へと移行しています。

制度の概要

この制度は、日本に90日を超えて滞在する外国人（一部例外あり）に登録を義務付けていました。登録は本人の申請に基づいて行われ、各市区町村が外国人登録原票を保管していました。この原票は、現住所の証明や人口調査などに利用されていました。

この制度の基本方針は、GHQ（連合国軍最高司令官総司令部）の指令に基づいており、詳細については外国人登録法で規定されていました。

外国人登録原票の記載情報

登録原票には、以下の情報が記載されていました。

外国人登録番号
登録年月日
氏名
出生の年月日
男女の性別
国籍および国籍国における居住地
出生地
職業
パスポート番号および発行年月日
上陸許可日
在留の資格および在留期間
住所および住所を定めた年月日、届出年月日
世帯主に関する情報（世帯主の場合）
国内に父母や配偶者がいる場合はその情報
勤務先の名称および所在地

登録原票の取り扱い

登録原票は、住所変更の際に新しい住所地に送付され、出国するまで原則として一枚で管理されていました。この点は、日本人の住民票と戸籍の役割を併せ持つと言えます。

外国人登録証明書の交付

外国人登録を行うと、市区町村長は外国人登録証明書を交付していました。これは写真付きのカード形式で、日本における外国人の身分証明書として広く利用されていました。この証明書とパスポートのどちらかを携帯していれば、身分証明書の携帯義務を満たしていました。

登録原票の閲覧と写しの交付

登録原票の写しは、外国人本人や同世帯の者など、限られた者に限り交付されていました。日本人の住民票とは異なり、登録原票は非公開とされていたため、申請理由が厳しく限定されていました。

外国人登録制度の問題点

国籍のずれ

外国人登録の「国籍等」の欄には、国籍の他に、外国人の属する地域が表示されることがありました。

韓国・朝鮮:「朝鮮」と表示される場合は、朝鮮半島に出自がある外国人を指し、国家の存在を認めているわけではありません。韓国籍の場合は「大韓民国」と表示されます。
台湾: 台湾籍の人は、かつて「中国」と表示されていましたが、2012年の法改正により「台湾」と表示されるようになりました。

居住地のずれ

日本人の住民登録と同様に、単身赴任や就学などの理由で、実際の居住地と外国人登録原票上の居住地が異なるケースがありました。

縦割りの住民登録制度

日本人と外国人の住民登録制度が別々であったため、以下のような問題がありました。

転居手続き: 外国人の転居手続きは、日本人の転出・転入の手続きとは異なり、登録が途切れる可能性がありました。
住基ネット: 外国人は住基ネットの対象外で、公的個人認証サービスを受けることができませんでした。
家族関係の証明: 日本人と外国人が混在する世帯では、家族関係の証明が複雑になることがありました。
住民税: 外国人も住民税を納めているにも関わらず、制度が異なることに対する不満の声がありました。

登録証明書の常時携帯義務

外国人登録証明書の常時携帯義務は、日本人の身分証明書の携帯義務がないことと比較して、差別的であるという指摘がありました。

新たな在留管理制度への移行

2009年、入管法が改正され、法務大臣が在留管理に必要な情報を継続的に把握する制度が構築されました。これにより、2012年7月9日に外国人登録制度は廃止され、新たな在留管理制度へと移行しました。

新制度の概要

在留カード: 中長期滞在者には在留カードが交付され、携帯が義務付けられました。
特別永住者証明書: 特別永住者には特別永住者証明書が交付され、従来の外国人登録証の携帯義務は廃止されました。
住民基本台帳: 中長期滞在者や特別永住者は、日本国籍保持者と同様に住民基本台帳に登録されるようになりました。
* 不法滞在者: 不法滞在者は住民基本台帳法の適用除外となり、登録制度の枠外となりました。

登録原票の扱い

廃止された外国人登録原票は法務大臣に送付され、新たな在留管理制度の対象とならない不法滞在者は、外国人登録証明書を返還する必要がありました。

まとめ

外国人登録制度は、日本の外国人住民管理において重要な役割を果たしてきましたが、制度上の問題点や時代の変化に対応するため、在留管理制度へと移行しました。この移行により、外国人住民の利便性が向上し、より公平な社会の実現に貢献することが期待されます。

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