外山文治

外山 文治

外山 文治（そとやま ぶんじ）は、1980年9月25日生まれ、福岡県出身の日本の映画監督、演出家です。日本映画学校で映像製作を学んだ後、社会の現実や人間の内面に深く迫る作品で注目を集めています。

経歴と主な活動

外山監督は、初期から脚本家としても才能を発揮しました。2005年には「伊参スタジオ映画祭シナリオ大賞」において、自身の脚本『星屑夜曲』が「大賞」と「スタッフ賞」の両部門を受賞。この脚本を基にした短編映画は、「SKIPシティ国際Dシネマ映画祭 2007」で奨励賞を獲得しています。

特に国際的に高い評価を得たのが、2010年の短編映画『此の岸のこと』です。老老介護の現実と夫婦愛を描いたこの作品は、海外の映画祭で上映され、「モナコ国際映画祭2011」では短編部門最高賞を含む五冠に輝きました。

長編映画監督デビュー作は2013年の『燦燦-さんさん-』です。シニア世代の婚活をテーマにしたこの企画は、プロットコンペでのグランプリ受賞を経て製作されました。「第38回モントリオール世界映画祭」に正式招待され、全国公開での成功を収めました。

2014年頃からは、映画製作に加え、TSUTAYAのCMシリーズや様々なプロモーションビデオ、コンサート演出など、活動領域を広げています。

2017年には、製作・監督・脚本・宣伝・配給を全て個人で行う「映画監督外山文治短編作品集」を発表。渋谷ユーロスペースでの上映では、歴代1位の観客動員数を記録し話題となりました。

長編第2作『ソワレ』（プロデュース：豊原功補、小泉今日子）は2020年に全国公開され、「第25回釜山国際映画祭」に招待されました。

そして、2023年の長編第3作『茶飲友達』で再び大きな注目を集めます。高齢者売春という衝撃的な題材を扱い、渋谷ユーロスペース1館から全国80館以上へと上映が拡大する異例のヒットとなりました。「第48回報知映画賞」ノミネート、フランスのKINOTAYO現代日本映画祭グランプリ、「第37回高崎映画祭」最優秀監督賞・最優秀主演俳優賞など、国内外で高い評価を受けました。

近年も精力的に創作活動を続けており、2025年には個人製作による短編作品集「東京予報 映画監督外山文治短編作品集」が劇場公開されます。2025年の東京を舞台に「かたすみのひかり」をコンセプトにした3作品から成り、「第3回横浜国際映画祭」でワールドプレミア上映されました。

作品の特徴と評価

外山監督の作品は、社会の片隅に生きる人々や、老い、介護、性、孤独といった、一般にはあまり光が当たらないテーマを、温かくも時に厳しい視線で描き出すことに特徴があります。人間の尊厳や繋がり、そして時に見せる滑稽さや哀しさを通して、観る者に深い共感や問いを投げかけます。その普遍的なテーマ性と高い芸術性は、国内外の映画祭での数々の受賞によって証明されています。

その他の活動

映画以外の分野でも、企業CM、アーティストのPV、コンサート演出などを手掛けています。TSUTAYA、岩谷産業などのCM、髙橋真梨子氏、ヒナタカコ氏などのPV、安川電機のプロモーションビデオ、三重県のPR映像などを監督。また、手嶌葵氏のコンサート演出なども担当しており、幅広い分野でその手腕を発揮しています。

これらの活動を通じて、外山文治氏は現代日本の映像界において、社会派の視点とエンターテインメント性を兼ね備えた独自の地位を確立し、注目を集める存在であり続けています。

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