外間守吉

外間 守吉（ほかま しゅきち）氏は、1949年10月8日に沖縄県八重山郡与那国町の祖内地区で生まれました。政治家及び実業家としての顔を持ち、沖縄国際大学で学びを深めた後、家業である福山海運の専務を務めました。

政治の世界に足を踏み入れたのは1978年で、この年に与那国町議会議員選挙で初当選を果たしました。町議会議員を3期にわたり務め上げ、その間、1986年から1990年までの期間は与那国町議会の議長という重責を担いました。

2005年には、当時の町長であった尾辻吉兼氏の死去に伴う与那国町長選挙に立候補し、自由民主党と公明党の推薦を受けて初当選を果たしました。その後も順調に支持を広げ、2009年の町長選挙では、民主党が支援する対立候補を退けて再選。この選挙戦では、与那国島への陸上自衛隊の配備問題が大きな争点の一つとなりましたが、外間氏は配備推進の立場を明確に打ち出しました。

続く2013年の町長選挙では、自由民主党の公認候補として出馬。これに対し、日本共産党、社会民主党、沖縄社会大衆党が推薦し、陸上自衛隊配備反対を掲げる候補との激しい選挙戦となりましたが、わずか47票差という僅差でこれを制し、3期目の当選を飾りました。さらに2017年の選挙でも、多選に対する批判や町政の刷新を訴える保守系の対立候補に27票差で勝利し、4期目の当選を果たしました。

町長在任中の特に注目すべき出来事の一つが、与那国島への陸上自衛隊配備に関する政府との交渉です。2013年3月20日に防衛大臣政務官との面会において、外間氏は基地設置に伴う「迷惑料」として、日本政府に対し10億円の支払いを要求しました。この要求の根拠として、前年度予算に計上された自衛隊用地取得調査費用に10億円が計上されていたことを挙げ、島民がその全額が島に入るものと期待している状況を踏まえ、金額面での一切の妥協はできないと主張しました。島の沿岸警備を含む国防上の意義については国が判断することであるとし、町にとっては経済効果が最優先であると説明しました。

これに対し、政府側は計上された10億円は調査費用を含めた総額であり、用地取得費用、特に地代については1億円程度を見込んでいると回答し、10億円の要求には国民への説明責任が果たせないため応じられないとの立場を示しました。外間氏は、要求する金額に見合わない場合、自身が島民から「国賊」と見なされることになると述べ、強い姿勢で交渉に臨む意向を強調しました。提示された金額では基地設置に同意することは難しく、交渉が決裂することも辞さない構えであると述べました。これを受け、防衛省は他の島への基地建設の検討を示唆しました。

こうした経緯を経て、外間氏は当初要求していた10億円の迷惑料については撤回するに至りました。しかし、自衛隊配備に伴う影響への対応として、ゴミ処理施設の整備など、最大限の金銭的協力や支援を政府に求める姿勢はその後も崩しませんでした。

2020年10月には、翌2021年8月に実施される町長選挙には出馬せず、任期満了をもって町長を退任する意向を表明しました。そして、2021年8月8日をもって16年間にわたる町長としての職務を終えました。この選挙では、外間氏が後継候補として擁立した人物が敗れる結果となりました。

町長退任後の2024年4月29日、春の叙勲において、旭日小綬章を受章しました。また、実業家としては現在も福山海運の代表社員を務めています。

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