多久安信

多久安信について

多久安信（たく やすのぶ）は、1890年1月7日に佐賀県で生まれ、1959年3月2日に亡くなった、日本の内務官僚です。官選の県知事や東京市の助役を歴任しました。父は多久綱一郎で、第一高等学校を卒業後、1914年11月に文官高等試験行政科試験に合格、1915年に東京帝国大学法科大学政治学科を卒業しました。

初期のキャリア

大学卒業後、内務省に入省し、三重県属としてキャリアをスタートさせました。1917年には三重県名賀郡長に就任し、その後、京都府加佐郡長、京都府理事官・産業部農林課長、京都市助役、地方事務官・愛知県勤務、富山県書記官・学務部長、徳島県書記官・警察部長、福井県書記官・警察部長、和歌山県書記官・内務部長、警視庁書記官・官房主事、長崎県書記官・内務部長など、地方行政に関わる様々な役職を歴任しました。

県知事としての活躍

1932年6月には青森県知事に就任し、民間の電気事業の県営移行を推進しました。1934年8月には岡山県知事に転任し、同年9月に発生した室戸台風による災害からの復旧に尽力しました。1937年7月には千葉県知事に転任し、県庁に軍需課を設置して軍需品の供出や斡旋を担当しました。また、水害対策として手賀沼と印旛沼の放水路計画を推進しました。1939年1月に知事を退任し、その後、東京市教育局長、同助役を歴任しました。

退官後と家族

退官後は、日本椎茸農業協同組合連合会の名誉会長を務めました。家族構成としては、父に多久綱一郎がおり、先妻に男爵西村精一の娘であるシヅコ、後妻に喜代子がいます。長男の多久安英は東芝EMIの社長や東芝の常務を務めました。

参考文献

歴代知事編纂会編『新編日本の歴代知事』歴代知事編纂会、1991年。
秦郁彦編『日本官僚制総合事典：1868 - 2000』東京大学出版会、2001年。


多久安信は、激動の時代に地方行政を担い、その手腕を発揮した人物として、その名は記憶されるべきでしょう。彼の業績は、日本の地方行政史において重要な足跡を残しています。

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