多摩市パチンコ店強盗殺人事件

事件の概要

1992年5月30日、東京都多摩市の雑居ビルにあるパチンコ店で、閉店後の売上金強奪を目的とした強盗殺人事件が発生しました。この事件は、中国福建省出身の男3人、A（当時29歳）、B（当時31歳）、C（当時28歳）によって計画、実行されました。

事件の発端は、Aが「簡単に金が手に入るパチンコ店がある」とBとCに持ちかけたことでした。3人は事前にパチンコ店を下見し、犯行のリハーサルまで行っていました。犯行当日、Aはハンティングナイフ、Bはバタフライナイフ、Cは木の棒をそれぞれ携行し、店員が抵抗した場合には殺害も辞さない覚悟で臨みました。

午後11時20分頃、従業員の甲（当時39歳）と乙（当時43歳）が、1階から4階の事務所へ売上金1500万円を運ぶためエレベーターに乗り込んだところを、Aが1階から、BとCが2階からエレベーターに乗り込みました。AとBは持っていたナイフで従業員2人を複数回刺し、Cも棒で頭部を殴打しました。エレベーター内は血の海と化し、従業員2人は死亡しました。

エレベーターが4階に到着すると、Bは約234万円を掴んで逃走しようとしましたが、異変に気づいた店長兼常務の丙（当時36歳）と遭遇しました。Aは丙を刺殺し、丙もまた犠牲となりました。

事件後の捜査と裁判

事件後、Bは1992年10月に都内のスナックに窃盗目的で侵入したところを逮捕され、指紋から多摩市の強盗殺人事件への関与が発覚しました。また、不法入国で逮捕されたCも事件への関与が明らかになり、再逮捕されました。しかし、主犯格のAは既に出国しており、国際手配されましたが現在も逃亡を続けています。そのため、Aに対する公訴時効は停止されていましたが、2010年の法改正により公訴時効は廃止されました。

裁判では、Aが主犯であり、BとCは従属的な立場であったと認定されましたが、その犯行の残虐性から、1審、2審ともに死刑判決が下されました。2002年6月には最高裁判所が上告を棄却し、BとCの死刑が確定しました。2人は現在、東京拘置所に収監されています。

事件の特異性と影響

この事件は、日本において、定住外国人に対して死刑が宣告された、1964年の在日韓国人による夫婦殺害事件以来、36年ぶり、また、来日外国人としては戦後初の死刑判決となりました。1999年には、川崎市で同胞6人を殺傷した中国人の男が死刑を宣告されましたが、こちらは2009年に死刑が執行されています。

多摩市パチンコ店強盗殺人事件は、外国人による凶悪犯罪が社会に大きな衝撃を与えた事件として、今もなお記憶されています。主犯Aの逃亡が続く中、事件は完全な解決を迎えてはいませんが、法の裁きを受けたBとCは、その罪を償うことになります。

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