多田淳之介
多田淳之介（ただ じゅんのすけ）は、1976年9月8日生まれの日本の演劇作家、演出家、そして俳優です。千葉県柏市出身で、自身が主宰する劇団「東京デスロック」を拠点に活動しています。また、宮森さつき氏と共に青年団リンク二騎の会を共同主宰し、2010年4月からは富士見市民文化会館キラリ☆ふじみの第3代芸術監督を務めるなど、多方面で日本の演劇界に貢献しています。
千葉県立東葛飾高等学校を卒業後、日本大学芸術学部を中退。演劇の道に進む中で、劇団「シルクハットギャラリー」や「pierr旅団」といった団体での経験を積み、1999年には劇団「動物電気」に入団し、2006年まで在籍しました。転機となったのは2001年、夏目慎也氏らと共に「東京デスロック」を旗揚げしたことです。主宰として、彼は劇団の全ての作品の作・演出を手掛けることになります。さらに、2003年からは劇作家・演出家として青年団の演出部にも所属し、活動の幅を大きく広げました。
多田淳之介の才能は早期から認められ、数々の評価を受けています。2003年には、東京デスロックの第三回公演「忍法」で王子小劇場佐藤佐吉賞の優秀演出賞を獲得。翌2004年には日本インターネット演劇大賞で優秀新人男優賞を受賞し、俳優としての実力も証明しました。
国内外での精力的な活動も彼のキャリアの大きな特徴です。2008年には、埼玉県富士見市民文化会館キラリ☆ふじみが企画する芝居「大恋愛〜三人の演出家によるロミオとジュリエット〜」の演出家の一人に選ばれました。同年には韓国のアジア演出家展に招聘され、現地の韓国人俳優と共に「ロミオとジュリエット」を上演し、国際的な交流を深めます。また、東京デスロックも同年に第15回ガーディアンガーデン演劇フェスティバル出場団体に選出されるなど、劇団としても注目を集めました。2008年末には、三好十郎作「その人を知らず」を年越し上演し、上演中に戯曲の著作権保護期間が終了するという、日本の演劇史上初の試みを行ったことも特筆されます。
国際的な評価はさらに高まり、2009年には東京デスロックが韓国アジア公演芸術祭に招聘。2011年5月にはフランスのジュヌビリエ国立演劇センターが主催するFestivalTJCCに東京デスロックが招聘され、活動の場をヨーロッパへと広げました。そして、2013年には韓国の東亜日報主催による第50回東亜演劇賞において、外国人としては初めて演出賞を受賞する快挙を成し遂げました。受賞対象となった作品「가모메 カルメギ」は、作品賞、舞台技術・美術賞も同時受賞し、その質の高さがアジアで高く評価されました。
多田淳之介は「演劇LOVE」を自身の活動の合い言葉とし、「演劇を幸せにする」ことを生涯の目標として掲げています。彼は、演出家・平田オリザ氏が提唱した「静かな演劇」以降の、日本の次世代を担う演劇人の一人として注目されています。同じく青年団に所属する松井周氏（劇団サンプル主宰）や岩井秀人氏（劇団ハイバイ主宰）、さらには劇団三条会主宰の関美能留氏といった同世代の演出家たちとも親交が深く、互いに刺激を与え合っています。
2009年1月からは、東京デスロックの東京での公演を一時休止し、埼玉県富士見市民文化会館キラリ☆ふじみのレジデントカンパニー「キラリンク☆カンパニー」として活動（2011年3月まで）。そして、2010年4月には同施設の芸術監督に就任しました。これは、公共文化施設の演劇部門における芸術監督としては、当時国内で歴代最年少での就任であり、多田氏の若さと実績、そして将来への期待の大きさを物語っています。
多田淳之介の作風は、常に演劇の可能性を問い直し、既成概念に挑戦する意欲に満ちています。東京デスロック旗揚げ当初から、演劇の枠組み自体を皮肉るような表現を取り入れていました。特に、2006年から始まった「演劇を見直す演劇シリーズ」では、その実験的な姿勢が顕著になります。このシリーズでは、役柄を全く固定しない「3人いる!」、全編を造語で構成した「別」、全く同じ物語が繰り返される「再生」といった作品を立て続けに発表しました。本人は「実験」であることを否定していますが、これらの試みはしばしば既存の演劇様式への大胆な問いかけとして受け止められました。
2007年からは「unlockシリーズ」を開始。このシリーズでは、「目の前に俳優がいること」という演劇の根源的な魅力に焦点を当て、舞台上の俳優の身体が感じる「疲れ」や、そこから生まれる生々しさを表現の中心に据える独特なアプローチを展開しました。
2008年以降は、ウィリアム・シェイクスピアの古典作品を数多く手掛けるようになります。しかし、その演出は従来の解釈にとらわれず、極めて大胆です。「ロミオとジュリエット」では子供の頃の遊びである「だるまさんがころんだ」を、また「マクベス」では「椅子取りゲーム」を作品の構成の中心に据えるなど、誰も予想しないような手法で古典を現代に蘇らせています。
演出家や劇作家としての活動に加え、俳優としても様々な作品に出演しています。
映画
SP THE MOTION PICTURE 革命編（2011年）：掃除屋 ジョン役
テレビドラマ
劇団演技者。（フジテレビ）「ナーバスな虫々」
SP 警視庁警備部護課第四係（フジテレビ）第4〜7話：ジョン役
舞台
ポツドール「ANIMAL」
三条会「いやむしろ忘れて草」
多田淳之介は、劇場での創造活動から公共文化施設の運営、国際交流まで、多岐にわたる活動を通じて、日本の演劇界に新たな視点と活力を与え続けている重要な存在です。
略歴
千葉県立東葛飾高等学校を卒業後、日本大学芸術学部を中退。演劇の道に進む中で、劇団「シルクハットギャラリー」や「pierr旅団」といった団体での経験を積み、1999年には劇団「動物電気」に入団し、2006年まで在籍しました。転機となったのは2001年、夏目慎也氏らと共に「東京デスロック」を旗揚げしたことです。主宰として、彼は劇団の全ての作品の作・演出を手掛けることになります。さらに、2003年からは劇作家・演出家として青年団の演出部にも所属し、活動の幅を大きく広げました。
受賞と国際的な活動
多田淳之介の才能は早期から認められ、数々の評価を受けています。2003年には、東京デスロックの第三回公演「忍法」で王子小劇場佐藤佐吉賞の優秀演出賞を獲得。翌2004年には日本インターネット演劇大賞で優秀新人男優賞を受賞し、俳優としての実力も証明しました。
国内外での精力的な活動も彼のキャリアの大きな特徴です。2008年には、埼玉県富士見市民文化会館キラリ☆ふじみが企画する芝居「大恋愛〜三人の演出家によるロミオとジュリエット〜」の演出家の一人に選ばれました。同年には韓国のアジア演出家展に招聘され、現地の韓国人俳優と共に「ロミオとジュリエット」を上演し、国際的な交流を深めます。また、東京デスロックも同年に第15回ガーディアンガーデン演劇フェスティバル出場団体に選出されるなど、劇団としても注目を集めました。2008年末には、三好十郎作「その人を知らず」を年越し上演し、上演中に戯曲の著作権保護期間が終了するという、日本の演劇史上初の試みを行ったことも特筆されます。
国際的な評価はさらに高まり、2009年には東京デスロックが韓国アジア公演芸術祭に招聘。2011年5月にはフランスのジュヌビリエ国立演劇センターが主催するFestivalTJCCに東京デスロックが招聘され、活動の場をヨーロッパへと広げました。そして、2013年には韓国の東亜日報主催による第50回東亜演劇賞において、外国人としては初めて演出賞を受賞する快挙を成し遂げました。受賞対象となった作品「가모메 カルメギ」は、作品賞、舞台技術・美術賞も同時受賞し、その質の高さがアジアで高く評価されました。
人物と演劇への思い
多田淳之介は「演劇LOVE」を自身の活動の合い言葉とし、「演劇を幸せにする」ことを生涯の目標として掲げています。彼は、演出家・平田オリザ氏が提唱した「静かな演劇」以降の、日本の次世代を担う演劇人の一人として注目されています。同じく青年団に所属する松井周氏（劇団サンプル主宰）や岩井秀人氏（劇団ハイバイ主宰）、さらには劇団三条会主宰の関美能留氏といった同世代の演出家たちとも親交が深く、互いに刺激を与え合っています。
2009年1月からは、東京デスロックの東京での公演を一時休止し、埼玉県富士見市民文化会館キラリ☆ふじみのレジデントカンパニー「キラリンク☆カンパニー」として活動（2011年3月まで）。そして、2010年4月には同施設の芸術監督に就任しました。これは、公共文化施設の演劇部門における芸術監督としては、当時国内で歴代最年少での就任であり、多田氏の若さと実績、そして将来への期待の大きさを物語っています。
作風
多田淳之介の作風は、常に演劇の可能性を問い直し、既成概念に挑戦する意欲に満ちています。東京デスロック旗揚げ当初から、演劇の枠組み自体を皮肉るような表現を取り入れていました。特に、2006年から始まった「演劇を見直す演劇シリーズ」では、その実験的な姿勢が顕著になります。このシリーズでは、役柄を全く固定しない「3人いる!」、全編を造語で構成した「別」、全く同じ物語が繰り返される「再生」といった作品を立て続けに発表しました。本人は「実験」であることを否定していますが、これらの試みはしばしば既存の演劇様式への大胆な問いかけとして受け止められました。
2007年からは「unlockシリーズ」を開始。このシリーズでは、「目の前に俳優がいること」という演劇の根源的な魅力に焦点を当て、舞台上の俳優の身体が感じる「疲れ」や、そこから生まれる生々しさを表現の中心に据える独特なアプローチを展開しました。
2008年以降は、ウィリアム・シェイクスピアの古典作品を数多く手掛けるようになります。しかし、その演出は従来の解釈にとらわれず、極めて大胆です。「ロミオとジュリエット」では子供の頃の遊びである「だるまさんがころんだ」を、また「マクベス」では「椅子取りゲーム」を作品の構成の中心に据えるなど、誰も予想しないような手法で古典を現代に蘇らせています。
俳優として
演出家や劇作家としての活動に加え、俳優としても様々な作品に出演しています。
映画
SP THE MOTION PICTURE 革命編（2011年）：掃除屋 ジョン役
テレビドラマ
劇団演技者。（フジテレビ）「ナーバスな虫々」
SP 警視庁警備部護課第四係（フジテレビ）第4〜7話：ジョン役
舞台
ポツドール「ANIMAL」
三条会「いやむしろ忘れて草」
多田淳之介は、劇場での創造活動から公共文化施設の運営、国際交流まで、多岐にわたる活動を通じて、日本の演劇界に新たな視点と活力を与え続けている重要な存在です。
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