多聞寺 (神戸市北区)

吉祥院多聞寺について

吉祥院多聞寺（たもんじ）は、兵庫県神戸市北区有野町唐櫃に位置する真言宗の寺院です。山号は六甲山で、秘仏として祀られている本尊には毘沙門天、吉祥天、善弐師童子が含まれています。前立ち本尊は毘沙門天であり、信仰の中心として多くの人々に親しまれています。

歴史的背景

この寺院の設立は古く、インドから渡来した僧侶、法道仙人によって、孝徳天皇の治世に始まったとされます。その後、荒廃していたこの寺を859年に高野山の僧、長善阿舎利が復興させました。元々は現在地の東南に位置する古寺山に存在していたそうです。

1180年、平清盛が神戸の福原に都を移した際に、京都の鞍馬山にあやかった形で都の鬼門（北東方向）を守るための寺院とされ、寺領には千町歩が与えられました。このため、唐櫃地区は長い間、他の地域とは異なる独自の文化や風習が根づくようになりました。

治承・寿永の乱中、源義経が須磨の一の谷を攻撃を試みた際、多聞寺がその道案内を断ったことが理由で、敵の襲撃を受けて焼失。その後廃墟となり、1462年に旧寺山から現在の位置に移設され、再建されました。現在の本堂は1690年に僧侶の了円によって再建されたものです。

お塔祭と地域文化

かつて、この寺院で毎年2月11日に行われていた「お塔祭」は特に賑やかであり、唐櫃村の人々にとって重要な行事となっていました。この祭りは、地域の氏族である四鬼家によって取り仕切られていました。四鬼家は、遥か昔に役行者の命によって奈良県吉野郡天川村からこの地へ移り住んだと伝えられ、唐櫃村と西六甲の山を管理し、さらに六甲修験の修行者たちも監督していました。

多聞寺の奥の院

多聞寺の奥の院は、六甲山の山頂近くにある仰臥岩や雲が岩（紫雲賀岩）、六甲比命神社（祭神として弁財天を祀る）、心経岩から構成されています。伝説によれば、法道仙人が雲が岩で修行をしているとき、紫色の雲に乗った毘沙門天と出会ったとされています。

関連項目

• - 六甲比命神社
• - 法道仙人
• - 四鬼氏
• - 六甲修験

このように、多聞寺は歴史を持つだけでなく、その文化や信仰が地域に深く根付いている寺院として、訪れる人々にとっても深い敬意を抱かせる場となっています。

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