多賀工業専門学校 (旧制)

多賀工業専門学校の歴史と概要

多賀工業専門学校（たがこうぎょうせんもんがっこう）は、昭和14年に設立された官立の旧制専門学校です。もともと「多賀高等工業学校」と呼ばれ、全国の官立高等工業学校の一つとして、技術者の育成を目的として設立されました。

興隆の時代：創設と発展

1939年、日本は戦時体制に向かう中で、全国的に技術者の拡充が急務となりました。そのため、全国に7つの官立高等工業学校が設けられ、これに多賀高工も加わりました。当初は、機械科、精密機械科、原動機械科、電気科、金属工業科の5つの学科が設置され、カリキュラムに沿った実習は地元の日立製作所の工場を利用していました。その後、通信工学科も新設され、多様な技術を学ぶ場が提供されました。

1944年には「多賀工業専門学校」と改称され、学科が新たに電気通信科や舶用機関科などに改組されました。さらに、工業教員養成所も附設され、多様な業界のニーズに応えられる人材を育成しました。

軍事的教育と戦争の影響

創立以来、学校は原則として全寮制で、軍隊式の教育方針を採用していました。入学時の学生は、厳しい軍事訓練を受けることが求められ、教育は極めて戦時体制に適応したものでした。しかし、こうした状況は1945年に戦争が終結するまで続きました。

戦争中の1945年7月、米海軍による艦砲射撃でキャンパスは被害を受け、多くの命が失われる悲劇が起こりました。この出来事は、多賀工業の歴史に深い傷跡を残しましたが、その後も教育活動は続けられました。

学制改革と新たな展開

戦後の1949年には、多賀工業専門学校は新制茨城大学に統合され、工学部（機械工学科・原動工学科・電気工学科・金属工学科）として再スタートしました。この新たな構造は、時代のニーズに合わせたカリキュラムを提供し、卒業生は様々な産業界で活躍する道を開くこととなりました。

1951年に多賀工業専門学校は正式に廃止されましたが、その精神は茨城大学工学部に受け継がれています。今でも多賀工業会として、先輩たちのつながりが大切にされており、互いに支え合うコミュニティが形成されています。

著名な出身者

多賀工業専門学校は、その厳格な教育と実践的なカリキュラムのおかげで、数多くの著名な卒業生を輩出しています。例えば、東京工業大学名誉教授の関口利男氏や、作家の松本辰夫氏、さらにはラリードライバーの難波靖治氏など、各分野で活躍しています。彼らは、多賀工業での学びがキャリア形成において大きな影響を与えたと語っています。

未来への展望

現在でも茨城大学の工学部は、多賀工業専門学校のルーツを受け継ぎながら新たな挑戦を続けています。技術革新が進む現代社会において、未来の技術者たちを育成し続ける重要な拠点として、さらなる発展が期待されています。こうした歴史を持つ多賀工業専門学校の精神は、今後も未来の技術者たちに引き継がれていくでしょう。

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