多賀庵風律

多賀庵 風律（たがあん ふうりつ）

多賀庵 風律は、元禄11年（1698年）に生まれ、天明元年4月29日（1781年5月22日）に没した江戸時代前期の俳諧師です。俳号を風律と称しました。

来歴

広島県広島市中区塩屋町で、木製の塗り物を家業とする木地屋保兵衛の家に生まれました。風律は3代目を継ぎましたが、若い頃から俳諧を好み、志太野坡が広島を訪れた際には、広瀬村油池（現在の広島市堺町3丁目南裏）の別邸に招き、俳諧の教えを受けました。

多賀庵の由来は、松尾芭蕉が『おくの細道』で訪れた多賀城跡の多賀城碑（壷の碑）に、同地から京、蝦夷国、常陸国などへの距離が刻まれているのを模し、庵の庭に安芸の山や厳島までの距離を示した板碑を建てたことによります。この板碑は残念ながら原爆により消滅してしまいましたが、多賀庵は代々の庵主に引き継がれ、1970年（昭和45年）に9世紫明が亡くなるまで、実に200年間も続きました。

風律の墓は、かつて中区猫屋町の教傳寺にありましたが、1990年（平成2年）に西区古田台に同寺が移転した際、風律の墓も一緒に移転しました。墓碑銘は「風律翁釋氏以心道居士」と刻まれています。

風律は、俳諧師としてだけでなく、家業を継ぎながらも文化的な活動を続けた人物として、その名が残されています。彼の庵は、地域文化の拠点として、多くの人々に親しまれました。

多賀庵について

多賀庵は、風律が建てた庵であり、その名前は松尾芭蕉の『おくの細道』に由来しています。風律は、多賀城碑に刻まれた距離表示に感銘を受け、自身の庵にも同様の趣向を取り入れました。庵の庭には、安芸の山や厳島までの距離を示した板碑を建て、訪れる人々に旅情を感じさせる空間を演出しました。この板碑は原爆で失われましたが、多賀庵はその後も代々の庵主によって維持され、地域の文化的な交流の場として機能しました。

多賀庵は、俳諧の稽古や句会の開催場所として利用され、多くの俳人が集まりました。また、地域の人々にとっては、憩いの場として親しまれ、文化的な活動を支える重要な役割を果たしました。多賀庵の存在は、風律の俳諧への情熱と、地域文化への貢献を示すものであり、彼の業績を語る上で欠かせない要素となっています。

脚注

俳人の一覧

関連項目

俳諧
松尾芭蕉
志太野坡

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