夜の河

『夜の河』は1952年に澤野久雄が発表した小説で、文學界の12月号に掲載されました。作品は発売当初から大きな注目を集め、澤野にとって3度目の芥川賞候補に選ばれましたが、残念ながら受賞には至りませんでした。しかし、1956年には山本富士子を主演に迎えた映画化が実現し、これが後に澤野の代表作となるほどの人気を得ました。さらに、1961年、1963年、1972年とテレビドラマ化もされ、多くの視聴者から親しまれました。

あらすじ

物語の中心となるのは京染屋の長女、舟木きわです。彼女は伝統的な京染の技術を学びながら、ロウケツ染の新しい可能性を見出し、自らの商品を次々と開発していきます。その努力の甲斐あって、彼女は東京のファッションショーに出品する機会を得ると、評判をどんどん高めていきます。

ある日、きわは製作の参考にと奈良を訪れ、その地で出会った大阪大学の教授、竹村幸雄に激しい恋心を抱くようになります。彼女は仕事と恋の両立に奮闘し、時には葛藤を抱えながらも、自らの道を切り開いていく姿が描かれています。恋愛と仕事の両立がテーマのこの作品は、女性の生き方に対する新しい視点を提供しています。

映画化

映画『夜の河』は1956年に公開され、カラー作品として多くの人々に感動を与えました。この作品は、その年のキネマ旬報のベストテンで第2位に選出されるなど、高く評価されました。

キャスト

- 舟木きわ：山本富士子
- 竹村幸雄：上原謙
- 舟木美代：小野道子
- 竹村あつ子：市川和子

他にも多くの俳優陣が出演し、物語に華を添えています。

受賞歴

映画『夜の河』は、キネマ旬報ベスト・テンで第2位を獲得し、毎日映画コンクールでも男優助演賞など、いくつかの受賞歴を持っています。特に東野英治郎は、この作品と他の作品を通じて評価を得ました。

結論

『夜の河』は、京染という伝統の中で新境地を切り開くきわの活躍と、その背後にある恋の物語を独自の視点で描いた作品です。映画やドラマを通じて、その魅力は今なお多くの人に受け継がれています。

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