夜明けの祈り

映画『夜明けの祈り』について

『夜明けの祈り』（原題: Les Innocentes）は、2016年に製作されたフランスとポーランドの合作映画です。アンヌ・フォンテーヌが監督を務め、第二次世界大戦直後のポーランドを舞台に、実際にあった出来事を基にしたドラマが展開されます。この映画は、戦後の混乱の中、修道院で起こった悲劇と、それに立ち向かう人々の姿を描いています。

制作の背景

この映画の着想は、実在したフランス人女性医師マドレーヌ・ポーリアックの日記に記された、ポーランドの修道院で起きた悲劇的な事件から得られました。プロデューサーのエリックとニコラ・アルトメイヤーは、この日記を基に映画化を企画し、アンヌ・フォンテーヌ監督に制作を依頼しました。フォンテーヌ監督は、この物語を深く理解するため、ポーランドの歴史学者と共に現地調査を行い、実際に複数の修道院で同様の事件が起こっていたことを確認しました。

カトリックの家庭で育ち、修道女の叔母を持つフォンテーヌ監督は、修道女たちの心の動きをより深く理解するために、映画の舞台と同様のベネディクト会系の修道院で「修練者」として生活を体験しました。この体験が、映画のリアリティを高める上で重要な役割を果たしています。

フォンテーヌ監督は、「現在も世界中で戦争やテロによって一般市民が犠牲となっている。最も重要なことは強い連帯であり、絶望的な状況にあっても希望を見つけることが大切だ」と語っています。

あらすじ

1945年12月、ポーランド。一人の修道女が修道院を抜け出し、赤十字の施設へとたどり着き、フランス人女性医師のマチルド・ボリューに助けを求めます。マチルドは当初、フランス人以外は助けられないという規則を理由に断りますが、雪の中で祈る修道女の姿に心を動かされ、修道院へ向かいます。

そこで、マチルドは妊娠している修道女たちを発見します。修道院長は、ソ連兵による蛮行を語り、外部の人間を立ち入らせることを拒否します。しかし、マチルドは命を救うという使命感に突き動かされ、危険を顧みず、赤十字の激務の中で修道院に通い続けます。

マチルドは、ソ連軍の捜索から修道院を守り、修道女たちの信頼を得ていきます。信仰と現実の狭間で苦悩する修道女たちの姿を通して、無神論者であるマチルドは「信仰とは何か」を問いかけます。シスター・マリアは「信仰は24時間の疑問と1分の希望」と答えます。

任務終了による帰国が迫る中、マチルドは同僚のユダヤ人医師サミュエルに協力を求めます。そして、帰国直前にシスター・マリアにある提案をします。その提案は、生まれたばかりの子供たちと修道女たち、そして町の孤児たちに希望を与えるものでした。

キャスト

マチルド：ルー・ドゥ・ラージュ
シスター・マリア：アガタ・ブゼク
マザー・オレスカ：アガタ・クレシャ
サミュエル：ヴァンサン・マケーニュ
シスター・イレーナ：ヨアンナ・クーリグ

作品の評価

この映画は、「サンダンス映画祭」での公式上映を皮切りに、「セザール賞」主要4部門にノミネートされるなど、高い評価を受けました。また、ヴァチカンでも上映されるなど、その普遍的なテーマが多くの観客の心を掴みました。

外部リンク

映画『夜明けの祈り』公式サイト
夜明けの祈り - allcinema
夜明けの祈り - KINENOTE
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IMDb（英語）]'>Les innocentes - IMDb（英語）
* フランス語）]'>Les Innocentes - AlloCiné（フランス語）

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