夜郎郡

夜郎郡は、中国にかつて存在した郡であり、晋代から唐代にかけて、現在の雲南省東部および貴州省南西部にまたがる地域に設置されていました。

歴史

311年（永嘉5年）、牂牁郡・朱提郡・建寧郡を分割して夜郎郡が立てられました。夜郎郡は寧州に属し、郡治は夜郎県に置かれました。この設置により、当該地域における行政区分が再編され、新たな統治体制が敷かれることとなりました。

南朝宋の時代には、夜郎郡は夜郎・広談・談楽・談指の4県を管轄していました。これらの県は、夜郎郡の行政機能を支え、地域住民の生活に深く関わっていました。

南朝斉の時代にも、夜郎郡は引き続き夜郎・談指・談楽・広談の4県を管轄していました。県名の構成は宋代と同一であり、安定した統治が継続されていたことが窺えます。

589年（開皇9年）、隋が南朝陳を滅ぼすと、夜郎郡は廃止され、静人県が置かれました。隋による中国統一の流れの中で、地方行政区画の再編が行われ、夜郎郡はその役割を終えることとなりました。

しかし、642年（貞観16年）には、唐により開山洞に珍州が置かれ、夜郎・麗皋・楽源の3県を管轄する形で復活しました。742年（天宝元年）には、珍州は夜郎郡と改称され、一時的に夜郎郡の名称が復活しました。これは、地域における歴史的名称の重要性や、行政区画に対する住民の意識を反映したものであったと考えられます。

その後、758年（乾元元年）には、夜郎郡は再び珍州と改称され、夜郎郡の呼称は姿を消しました。この変更により、夜郎郡の名称は歴史の中に埋もれることとなりました。

このように、夜郎郡は設置から廃止、そして一時的な復活と変遷をたどりました。その歴史は、中国の地方行政区画の変遷を物語る一例として、興味深いものとなっています。

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