夢見る黄金地球儀

読んでおくべき小説『夢見る黄金地球儀』

著者・海堂尊による『夢見る黄金地球儀』は、東京創元社から出版された小説です。本作は、架空の都市桜宮市を舞台に、桜宮水族館の別館「深海館」に展示されている黄金で作られた地球儀の強奪を繰り広げる物語です。華やかな黄金地球儀を巡る騒動は、物語が進むにつれて思わぬ展開を迎え、読者の興味を引きつけます。

物語の背景

物語の舞台は1988年、桜宮市で実施されたふるさと創生事業に起因します。この事業に交付された1億円をもとに作られたのが、この目を見張る黄金地球儀です。この地球儀は、日本の一部を黄金で作製し、特別に設計された「深海館」に展示されていました。しかし、時の流れとともに「深海館」の人気は徐々に衰えていきます。

2013年に物語は進み、平沼鉄工所の営業部長である平沼平介のもとに、8年間行方不明だった友人・久光穣治（通称・ガラスのジョー）が突然現れます。彼はかつて違法行為を共に行っていた仲間であり、突如として黄金地球儀の強奪を持ちかけてきます。最初はあまり乗り気でなかった平介ですが、平沼鉄工所が桜宮市役所管財課との間で結んだ不利益な契約をきっかけに、次第に計画に巻き込まれていくことになるのです。

登場人物たち

物語には多彩な登場人物がいます。平沼平介はトラブルを引き寄せてしまう性格の持ち主で、趣味はフィギュア制作という独特なキャラクターです。一方、久光穣治はお気楽な性格ですが、彼の混乱を招くような言動が物語の緊張感を引き立てます。平沼一家も個性的で、社長の平沼豪介は探求心にあふれ、経理担当の君子は夫をしっかり支える印象を与えます。

また、桜宮市役所の関係者や安全保障事業を手掛ける4Sエージェンシーのメンバーにも焦点が当たり、彼らとのやり取りが計画に影響を及ぼします。

ストーリーの核心

黄金地球儀を巡る騒動は、平介たちの計画が進むにつれて予想外の展開を迎えます。計画の実行中に、次々と発生するトラブルに直面した彼らは、果たして無事に計画を成功させることができるのか。数々の伏線が張られたストーリーは、最後まで読者の興味を惹きつけ、緊張感を持続させます。

終わりに

『夢見る黄金地球儀』は、海堂尊の作品の中でも特に重厚なストーリーテリングが魅力です。医療を題材にしない初の作品であり、新たな挑戦を感じさせる本作は、登場人物たちの関係性や緻密に練られたプロットが見事に絡み合う作品です。ミステリーの要素も満載であり、最後の展開に驚くことでしょう。興味のある読者には、ぜひ手に取っていただきたい一冊です。

もう一度検索