大三輪長兵衛

大三輪長兵衛

大三輪長兵衛（おおみわ ちょうべえ、1835年（天保6年6月） - 1908年（明治41年）1月31日）は、日本の政治家であり、実業家としても多方面で活躍しました。衆議院議員を2期務めたことで知られています。

生涯

大三輪長兵衛は、筑前国表糟屋郡筥崎（現在の福岡市東区）に生まれました。幼名は一貫と名付けられました。若い頃から和学と漢学を学び、長崎へ遊学するなど、向学心に富んでいました。帰郷後、1855年（安政5年）に大阪へ上り、北堀江の商家で奉公した後、独立して締綿問屋を開業し、事業で成功を収めます。その後、蝦夷地の物産を扱う店を開き、北海道や馬関、九州に商売の手を広げ、一代で巨額の財産を築き上げました。

明治維新後、大三輪は通商司附北海道商社社長心得に任じられ、自由民権運動にも賛同し、その活動を支援しました。1879年（明治12年）には手形交換所創立委員となり、大阪東区に交換所を開設し、会頭に就任しました。さらに、1884年（明治17年）には第五十八国立銀行（後の第百三十銀行、保善銀行、安田銀行を経て、現在のみずほ銀行）の頭取に就任するなど、金融界でも重要な役割を果たしました。

政治家としては、大阪市西区会議員、同議長、大阪市会議員、同参事会員、同議長、大阪府会議員、同常置委員、同副議長、議長といった要職を歴任しました。

1891年（明治24年）には、朝鮮国王・高宗の招きに応じ、朝鮮の通貨改革に尽力しました。その功績により、高宗から従二品嘉善大夫を贈られ、交換署会弁にも就任しました。その他、鉄道院監督官、正二品資憲大夫蔘政検察大員にも任じられました。

1898年（明治31年）3月の第5回衆議院議員総選挙において、大阪府第1区から山下倶楽部公認で立候補し、見事当選を果たしました。同年8月の第6回衆議院議員総選挙でも再選され、衆議院議員を2期務めました。1902年の第7回衆議院議員総選挙には出馬せず、政界を引退しました。1908年（明治41年）1月31日に亡くなり、墓所は大阪市営南霊園にあります。

親族

大三輪家は、神職の家系であり、祖父の大神一貞は筥崎宮の権大宮司を務めました。父の大神嘉納も同様に筥崎宮の権大宮司を務めています。長男の大三輪奈良太郎は名古屋明治銀行の頭取を務めました。弟の葦津磯夫は筥崎宮の宮司であり、一時、官幣大社香椎宮の宮司も兼任し、福岡農学校の校長も務めました。葦津磯夫の子である葦津耕次郎は神道家であり、筥崎宮の宮司を務めました。また、鉱山業や社寺建築業を営む実業家、言論人としても知られています。葦津磯夫の孫である葦津珍彦は神道研究家として活動し、葦津磯夫の長男である葦津泰国は神社新報社の元社長を務めました。

大三輪長兵衛は、政治家、実業家として多岐にわたる分野で活躍し、日本の近代化に貢献した人物として評価されています。

参考文献

山崎謙編『衆議院議員列伝』衆議院議員列伝発行所、1901年。
日本国政調査会編『衆議院名鑑 第1回・1890年～第34回・1976年総選挙』国政出版室、1977年。
* 衆議院・参議院『議会制度百年史 - 衆議院議員名鑑』大蔵省印刷局、1990年。

もう一度検索