大不倫伝

『大不倫伝』概要

『大不倫伝』（だいふりんでん）は、松本零士による漫画で、1972年5月から7月まで『平凡パンチ』（マガジンハウス）に連載されていました。全10話からなるこの作品は、1話完結の形をとっており、硬派なテーマが特徴です。この作品では、慰謝料を支払わずに離婚したい男からの依頼を受け、不倫代行業を営む主人公、好川ウタマロが登場します。ウタマロは、依頼人の妻と性的関係を持ち、その証拠をまとめていくという斬新な内容です。彼の名前は浮世絵師の喜多川歌麿に由来しており、作中では彼の大きな男性器がコミカルに描かれています。

ストーリーの進行

物語は、好川ウタマロのアパートから艶やかな女性の喘ぎ声が漏れるところから始まります。アパートの住人が気になり、彼の部屋を覗くと、そこにはウタマロとセックス中の美女がいました。ウタマロはその様子を記録し、依頼人のために不貞行為の証拠を揃えています。新たな依頼が来るたびに、彼は幼い妹のほたるを伴いながら様々な場所へ移動し、その都度男女の複雑な愛憎劇を描いていくのです。

登場人物

この作品には魅力的なキャラクターが多く登場し、特にウタマロと彼の妹であるほたるが物語の中心となっています。ウタマロは、自身の余りにも冴えない外見を気にしながらも、女性との肉体関係を持つことで生計を立てています。彼の性行為は大きな男性器を持つことが特徴で、相手の心理や感情に影響を与える様子が描かれています。

妹のほたるは、ウタマロの仕事の内容には無知ながらも、彼を気遣う優しい性格を持っています。彼女の存在は、ウタマロの人間性を強調するポイントとなっています。また、作品内には彼が対応する様々な女性たちが登場し、各々が抱える悩みや欲望が織り交ぜられて描かれることから、情熱的かつユーモアに富んだ場面が続きます。

性に関する描写

本作は大人向けの雑誌に連載されていただけあり、性描写が豊富に含まれています。特に、ウタマロが行う性行為は、しばしば女性の感情や状況の中に埋もれて描かれ、単なる肉体的な関係を超えて、心理的な要素も絡み合っています。ウタマロの仕事の一環としての不倫代行がどのように成り立っているか、その過程を追うことで、性と人間関係の複雑さに迫っています。

総評

『大不倫伝』は、松本零士の独特な視点で描かれる男女の関係や、性のありようを考察する作品です。美しい描写や、時にはコメディ要素を交えながら繰り広げられるストーリーは、読者を引き込む面白さを持っています。ウタマロの視点を通して、性に対する考え方や、男女の関係の奥深さを描いた本作は、単なるエロティックな漫画に留まらない、哲学的な要素も秘めた作品と言えるでしょう。

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