大不況 (1873年-1896年)

大不況 (1873年 - 1896年)

大不況は、1873年から1896年にかけての長期にわたる経済低迷の時代を指します。これは主に、アメリカやイギリスを中心にさまざまな国々に影響を及ぼしました。特にアメリカでは、この時期に2度の恐慌が発生し、経済や社会に多大な影響を与えました。

歴史的背景

大不況は、1873年の恐慌から始まりました。恐慌の原因は複雑で多様ですが、その後の長期不況に対する主要な要因はいくつかあります。特に、製造力の向上と銀の増産、価格の低下が挙げられます。これにより、世界的な銀の供給が増加し、その結果、価格が急落しました。

この時期、さまざまな国々が金本位制に移行したのも影響の一因です。ドイツやデンマーク、スウェーデンなどが相次いで金本位制を採用し、その後フランスやアメリカも続きました。金本位制を導入したことで、銀貨の価値が大きく下落し、資本の流出や経済の不安定さがさらに助長されたのです。

世界の動向

大不況の最中、保護貿易政策が広がり、国際的な商船取引はほとんど成長しませんでした。このことが不況を長期化させる要因のひとつとなりました。当時の主要貿易国では、関税の引き上げや保護貿易主義の波が見られ、その結果、国々の経済的な連携が崩れたのです。

また、アジア各国は鉱業の効率化が遅れ、銀本位制のままでいたため、国際競争に取り残されました。アフリカへの投資も増加しましたが、同時に多くの国々が資金捻出に苦しむ事態が続きました。

アメリカ合衆国における影響

アメリカでは、南北戦争後の短期的な経済低迷を経て、1913年に始まった長い不況の中で、数多くの企業が倒産し、数百万が失業しました。特に鉄道業界は不況の影響を受け、急激な成長がストップしました。鉄道敷設距離の増加が途絶え、重要な経済セクターが次々に縮小していったのです。

ミルトン・フリードマンとの研究によれば、当時の名目賃金は四分の一減少し、特に製造業や建設業では深刻な打撃を受けていました。農業生産は増加を続けたものの、農産物の価格が急落したことで、農業従事者にとっては厳しい状況が続きました。

回復の兆し

大不況は1896年にその終息を迎え、以降の景気回復を迎えます。特に鉄道建設や建設業が回復し始め、失業率も徐々に低下していきました。この時期、多くの国が金本位制に復帰し、デフレーションの圧力が軽減されることで、経済が再び活性化し始めました。

しかし、完全な回復には時間を要し、アメリカ経済はその後もいくつかの波乱を経て成長を続けました。このように、大不況は各国経済に多くの影響を及ぼし、その教訓は今日の経済政策にも活かされています。

まとめ

大不況は、単なる経済の低迷ではなく、時代背景や国際的な動向、政策の変遷があらゆる形で交錯した複雑な時期だったと言えるでしょう。私たちが学ぶべきは、この時期の歴史から、経済的な波にどう対処していくべきかという知見です。

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