大丸弘

大丸 弘について

大丸 弘（だいまる ひろし、1933年2月3日 - 2017年3月17日）は、日本を代表する民族学者であり、特に衣生活とその周辺に関連した比較生活史の研究において高く評価されています。彼は国立民族学博物館の名誉教授および総合研究大学院大学の名誉教授として、教え子や同僚に多大な影響を与えました。彼の業績は、研究室を通じて文化的な理解を深めることに向けた彼の情熱の表れでした。

学歴とキャリア

1958年に東京大学の美学美術史学科を卒業後、続いて1967年には関西女子美術短期大学の助教授に就任しました。1974年には同大学の教授職に昇進し、以降、大阪樟蔭女子大学の助教授や国立民族学博物館の助教授、教授にも就任しました。1996年には国立民族学博物館および総合研究大学院大学の名誉教授に任命され、生涯を通じて多くの学生や研究者を育成しました。

受賞歴と業績

大丸弘は、その学術的な貢献により数々の賞を受けており、例えば1987年には日本風俗史学会から「野口眞造記念染織研究奨励賞」を受賞しました。また、関西データベース協議会からも奨励賞を獲得し、その研究活動は他の研究機関からも広く認知されていました。特に、2017年にはアート・ドキュメンテーション学会によって「野上紘子記念アート・ドキュメンテーション学会賞」を受賞し、彼の研究が持つ文化的意義が改めて評価されました。

主な著作

大丸の著作は、衣生活に関する独自の視点や分析をもとにした多くの本にまとめられています。2021年には『年表で読む近代日本の身装文化』を出版し、衣文化の歴史を語る重要な著作となっています。他にも『新聞連載小説の挿絵でみる近代日本の身装文化』や『日本人のすがたと暮らし―明治・大正・昭和前期の身装』など、多岐にわたる研究成果を残しています。

研究プロジェクトとデジタルアーカイブ

大丸は1979年から1995年の間、国立民族学博物館の研究室を率いて、全国の衣装や身装文化に関するデジタルアーカイブの構築を進めました。現《服装・身装文化資料デジタルアーカイブ》として公開されたこのプロジェクトは、彼の研究の集大成とも言えるもので、多くの研究者や愛好家にとって貴重な資料となっています。このアーカイブは日本の文化理解を広げるための重要な資源となっています。

国際的な視点

大丸の研究は、国際的な視点を取り入れており、特に西欧と日本の文化比較に重点を置いています。彼の論文には「西欧人のキモノ認識」や「両大戦間における日本人の中国服観」などがあり、異文化間の交流や影響を考察しています。こうした研究を通じて、彼は日本文化の国際的な位置づけについても考察しており、民族学的研究が文化の理解を深める手助けになることを常に示していました。

最後に

大丸弘は、その研究を通じて衣生活というテーマに新たな視点をもたらし、ご自身の生涯をかけて日本文化への理解を深めることに貢献しました。彼の業績は後の研究者たちにとっての道しるべとなり、今後の民族学の発展に大きな影響を与えることでしょう。

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