国立民族学博物館

国立民族学博物館について

国立民族学博物館（みんぱく）は、大阪府吹田市の万博記念公園内に位置し、文化人類学や民族学に基づいた研究及び展示を行う国立の博物館です。この博物館は、大学共同利用機関である人間文化研究機構の一部として設立されています。

沿革

博物館の設立は、1921年に遡ります。東京帝国大学の学生であった渋沢敬三は、自宅の車庫を利用し「アチック・ミューゼアム」を創設しました。これが民族研究の起点となり、1935年には日本民族学会が設立され、国立民族学博物館の設立を目指す動きが始まりましたが、戦局の影響で流れが停滞しました。当時、渋沢は資料の蒐集を進め、1937年には保谷に独自の博物館を建設し、資料を移転しました。

1962年、渋沢は資料を文部省に寄贈し、将来の国立民族学博物館設立を期待しました。その後、1964年に日本民族学会が設立要望書を提出し、1965年には日本学術会議も設立を勧告。1970年の日本万国博覧会後に、博物館設立が正式に決定されました。

1974年、国立民族学博物館は正式に創設され、梅棹忠夫が初代館長になりました。1977年に開館式が行われ、その後、大学院教育や様々な展示活動が展開されていきます。

組織と展示

博物館は、大きく地域展示と通文化展示に分けられています。地域展示では、世界の各地域、特にオセアニアやアジア、日本を含む様々な文化が紹介され、通文化展示では、音楽や言語といったテーマを通じて民族文化をひも解く内容が展開されています。

ビデオテークも完備しており、来館者は様々な文化に関する映像を視聴可能です。1999年以降は「みんぱく電子ガイド」が展開され、さらなる情報提供を行っています。また、特別展示館では研研究者たちの研究成果をテーマごとに展示するスペースも設けられています。

みんぱっくの活動

「みんぱっく」は、子ども向けの小さな博物館であり、各種民族道具や衣装、おもちゃなどをスーツケースに詰めて学校に貸し出すプログラムを運営しています。これにより、子どもたちが世界の文化に触れ、学ぶ機会を提供しています。

建物と設計

博物館は鉄骨鉄筋コンクリート造で、地上4階、地下1階の構造を持ち、広大な敷地に建設されています。設計は著名な建築家、黒川紀章によるもので、様々な賞を受賞しています。

所蔵品と展示物

所蔵品には、アイヌに焦点をあてた田中忠三郎のコレクションがあり、重要な民俗文化財も多数含まれています。また、マスメディアでも「みんぱくラジオ」や新聞連載などを通じて国立民族学博物館の活動が広報されています。

国立民族学博物館は、研究と展示を通じて人々に多様な文化を紹介する貴重な場所であり、訪れることで異なる文化や価値観に触れる機会を提供しています。

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