大丸遺跡 (稲城市)

大丸遺跡について

大丸遺跡（おおまるいせき）は、東京都稲城市大丸にて発見された複合的な遺跡です。この遺跡は別名「多摩ニュータウンNo.513遺跡」とも呼ばれており、縄文時代から江戸時代までの様々な時代の遺物が発見されていることが特徴です。

調査の経緯

この遺跡の発掘調査は、1980年から1986年にかけて行われました。多摩ニュータウンの開発が進む中、稲城市での土地区画整理が活発に行われ、その際に遺跡の存在が確認されました。東京都埋蔵文化財センターが実施した発掘作業により、様々な時代の遺構が次々と発見されたのです。

発見された遺跡

大丸遺跡では、縄文時代の土坑群、古墳時代の横穴墓、奈良時代の瓦窯跡、室町時代の城郭や経塚、板碑、さらに江戸時代の神社跡や地下室（ムロ）など、多岐にわたる文化遺産が見つかりました。

特に、奈良時代の瓦窯跡は、このエリアにおいて特に重要な発見です。この瓦窯跡は、武蔵国の国府（府中市）や武蔵国分寺（国分寺市）に使用される瓦を製造していたものと考えられています。この瓦窯跡は、近隣の「瓦谷戸窯跡」よりもやや古い時代のものであり、遺跡の中でも特に注目を集めています。さらに、歴史的な城である大丸城の跡も見つかり、その周辺には墓や経塚、板碑が発掘されました。

これらの遺跡は、同じエリアに異なる時代のものが重なり合っているため、複合遺跡として重要な位置づけがされています。このように、大丸遺跡は壮大な歴史を物語る貴重な文化遺産として、東京都の歴史を語る上で欠かせない存在となっています。

現在の状況

残念ながら発掘調査後、大丸遺跡はその後の造成工事によってほとんどが消失してしまいました。現在見られるのは、大丸城についての説明看板が設置されているのみで、具体的な遺構はほぼ残されていない状態です。しかし、発掘によって出土した古代瓦や経塚の遺物は、東京都指定の有形文化財として保管されており、東京都埋蔵文化財センターがその管理を行っています。

参考文献

大丸遺跡に関する詳しい情報や研究は、多数の資料にまとめられています。稲城市教育委員会が発行した『文化財ノート』や関連資料は、遺跡の理解を深めるための重要な情報源となるでしょう。特に、2011年に発行された『大丸遺跡（その一・二）』では、発掘の詳細や意義について詳しく解説されています。

大丸遺跡は、地域の歴史を知る手がかりであり、多世代にわたって受け継がれる文化の重要な証人です。現在でも、考古学の観点からの探求が続けられており、地域の文化や歴史を学び続けるための資源としての価値を持っています。

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