大久保明

大久保明氏は、1954年（昭和29年）8月2日に鹿児島県で生まれ、医師そして政治家として活動した人物です。特に、鹿児島県大島郡伊仙町の町長を長きにわたり務めたことで知られています。

学業においては、熊本マリスト学園高等学校を経て、鹿児島大学医学部を卒業しました。医学の道を歩み、特に地元の徳之島において、徳之島徳洲会病院長などの要職を歴任し、地域医療の向上に貢献しました。

医療分野でのキャリアを積んだ後、大久保氏は政治への関心を深め、新たな道を歩み始めます。1999年には鹿児島県議会議員選挙に挑戦し、初当選を果たしました。県議会議員としての経験を経て、さらに地域貢献への意欲を高めた氏は、2001年に故郷である伊仙町の町長選挙に出馬し、当選を勝ち取ります。以来、連続して6期にわたり伊仙町のトップとして町政運営を担いました。約四半世紀にわたる長期政権は、町民からの厚い信頼の証であり、そのリーダーシップのもと、伊仙町は様々な変革を経験したと考えられます。

しかし、2025年3月27日、同年10月に予定されていた任期満了を目前に、大久保氏は町議会議長に辞職願を提出するという異例の決断を下しました。この辞職願は受理され、同年4月26日をもって、大久保氏は町長としての職務を終えることとなりました。任期を残しての辞職には、明確な理由がありました。大久保氏自身は、過去の町長選挙において逮捕者が出るなど、選挙運動が過熱しやすい状況があったことに言及し、このような状況を繰り返さないためには、次の選挙をできる限り早期に実施することが極めて重要であると考えたためと説明しました。自身の辞職が、選挙の早期化とそれによる過熱防止につながるとの判断があったのです。

大久保氏の辞職を受けて行われた伊仙町長選挙は、2025年5月11日に投開票されました。この選挙では、大久保氏が実質的な後継者として支持した元伊仙町教育長の伊田正則氏が立候補しました。結果として、伊田氏は他の候補者を破り、見事に初当選を果たしました。大久保氏の任期途中での辞職は、単なる個人的な都合によるものではなく、町の将来、特に次期町長選挙のあり方を見据えた、熟慮の上での政治判断であったと言えるでしょう。医師として地域社会に貢献し、長年にわたり伊仙町の発展に尽力した大久保明氏は、その政治家人生の終盤において、故郷の民主主義と安定を願う強い思いを示した人物として、記憶されるでしょう。

もう一度検索