大久保純一

大久保純一：近世日本美術、そして浮世絵研究の第一人者

大久保純一氏は、1959年生まれの日本の美術史家です。現在、国立歴史民俗博物館情報資料研究系教授と総合研究大学院大学教授を兼任しており、近世日本美術、特に浮世絵に関する深い造詣で知られています。

学歴とキャリア

徳島県で生まれ育った大久保氏は、東京大学文学部美術史学科を卒業後、同大学院修士課程を修了しました。その後、名古屋大学文学部助手、東京国立博物館研究員を経て、跡見学園女子大学文学部助教授に就任。2000年には国立歴史民俗博物館情報資料研究部助教授に、翌年には総合研究大学院大学助教授を兼任しました。2006年には東京大学より「広重と浮世絵風景画」で文学博士号を取得しています。その後、国立歴史民俗博物館では准教授を経て、2008年に教授に昇進。さらに、博物館資源センター長や副館長も歴任するなど、研究活動に加え、博物館運営にも大きく貢献しています。

研究内容

大久保氏の研究の中心は、近世日本美術、とりわけ浮世絵です。浮世絵の様式や技法、制作過程、そして社会的な文脈といった多角的な視点から研究を展開し、その知見は多くの研究者や愛好家から高く評価されています。特に、葛飾北斎や歌川広重といった巨匠の作品を題材とした研究は高く評価されており、浮世絵研究における第一人者としての地位を確立しています。近年の研究では、浮世絵の大量生産・消費という側面にも注目し、美術史における新たな視点を提示しています。

主要な著作物

大久保氏は、これまでの研究成果を数多くの著作物として発表しています。主な著書には、『豊国と歌川派』、『北斎の冨嶽三十六景 千変万化に描く』、『美人風俗画』、『広重と浮世絵風景画』、『カラー版　浮世絵』、『カラー版　北斎』、『浮世絵出版論　大量生産・消費される＜美術＞』、『北斎　ジャパノロジー・コレクション』、『広重　ジャパノロジー・コレクション』などがあります。これらの著作物は、一般向けに分かりやすく書かれたものから、学術的な内容を深く掘り下げたものまで幅広く、浮世絵研究の入門書から専門書まで、様々な層の読者に貢献しています。また、共編著として『浮世絵の鑑賞基礎知識』、『原色日本の美術 第18巻　浮世絵』、『広重東海道五拾三次 保永堂版』、『日本美術全集15 浮世絵と江戸の美術　江戸時代Ⅳ』なども出版しており、日本の美術史研究に多大な貢献を果たしています。

まとめ

大久保純一氏は、長年にわたる研究活動を通じて、近世日本美術、特に浮世絵に関する豊かな知見を蓄積し、多くの優れた著作物を発表してきました。その研究は、浮世絵研究のみならず、日本の美術史研究全体に大きな影響を与え続けており、今後もその活躍が期待されています。氏の研究は、浮世絵というジャンルを超え、近世日本の社会や文化を理解するための重要な手がかりを提供しています。今後の研究活動にも注目していきたいと考えています。

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