大乗義章

大乗義章の概要

『大乗義章』は、南北朝から隋にかけて活動した浄影寺の慧遠によって著された仏教に関する重要な論書です。この書籍は26巻から成り立っており、仏教用語の解説が中心となっています。慧遠は523年から592年まで生き、彼の著作は当時の仏教思想に大きな影響を与えました。

時代背景

慧遠が生きた時代には、同じく『大乗義』または『大乗義章』という名前の書物がいくつか存在していました。彼の作品は師である法上の同名の書籍に依拠していると考えられています。慧遠は自身の他の著作の中でも『大乗義章』について触れているため、この作品が早期に書かれたことを示唆しています。彼の時代背景には、仏教が広まる中で新たな解釈や論争が生まれていたことが挙げられます。

内容

『大乗義章』は、主に五つの「聚」で構成されています。具体的には、教聚、義法聚、染法聚、浄法聚、そして雑法聚です。現代に残っている版では、最後の雑法聚が欠落していますが、残存する部分は大正大蔵経の44巻に収められています。

この書籍では222のテーマが、法数の順番に従って詳細に取り上げられています。特に、慧遠の独自の思想は、義法聚の中の仏性義、二諦義、八識義、そして浄法聚に含まれる涅槃義に顕著に見られます。内容的には、『大乗涅槃経』と『大乗起信論』が基盤となっており、特に「仏性縁起」を強調しているのが特徴です。これにより、仏教の理解を深めるための重要な資料となっています。

影響

慧遠が亡くなった後、彼の教えは弟子たちによって広まり、後続の仏教学派に大きな影響を及ぼしました。特に、吉蔵の三論学、智儼の華厳学、基の唯識学においては、慧遠の思想が色濃く反映されています。彼の教えは、仏教思想の形成において重要な役割を果たし、後の時代にまでその影響が至ることとなりました。

『大乗義章』は、その思想の深さと広がりを兼ね備えた作品であり、仏教を学ぶ人々にとって欠かせない参考文献であると言えるでしょう。

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