大乗院寺社雑事記

大乗院寺社雑事記の概要

大乗院寺社雑事記（だいじょういんじしゃぞうじき）は、室町時代において興福寺大乗院で門跡を務めた僧侶たちによって記された詳細な日記です。この日記は、尋尊、政覚、経尋の三代にわたり約190冊にわたって執筆されました。重要文化財に指定されており、その原本は1450年から1527年という長い期間にわたり存在が確認されています。これにより、当時の社会や宗教、政治的動向を知るための貴重な資料となっています。

主な内容

尋尊が記した部分は特に「尋尊大僧正記」と「尋尊大僧正記補遺」と呼ばれ、応仁の乱前後の重要な史料と認識されています。この時期は日本の歴史においても特に混乱があったため、歴史学者や研究者にとってその内容は特に重視されています。さらに大乗院寺社雑事記の多くの項には「紙背文書」と呼ばれる、裏面に書かれた文書が存在しており、これらもまた歴史的意義を持っています。

所蔵と影響

現在、大乗院寺社雑事記は国立公文書館が所蔵しており、その価値は国指定文化財としても評価されています。この日記の存在は、日本の宗教史や社会史を研究する上で欠かせない資料であり、大学や研究機関においても盛んに引用されています。このため、日記の内容を整理・研究した書籍も多く刊行されています。

刊行された書籍

例えば、『続史料大成　大乗院寺社雑事記』は、竹内理三を編者代表とし、臨川書店から全12巻として1978年に刊行されました。その後、2001年に新版が出版され、広く利用されています。また、『大乗院寺社雑事記研究論集』も存在し、これは2001年から2016年にかけて発表された全5巻にわたる研究集で、同研究会が編纂しました。これらの書籍を通じて、大乗院寺社雑事記の内容や意義についての理解が深まっています。

関連項目と外部リンク

さらに、研究を進めるために、大乗院日記目録も存在し、関連文献の調査や研究が推奨されています。加えて、文部科学省による大乗院寺社雑事記の解説もあり、これらを通じてさらに詳しい情報を得ることが可能です。特に、文化財等データベースでは、主情報詳細が提供されており、これを利用することで資料を直接確認することもできます。

このように、大乗院寺社雑事記は単なる日記にとどまらず、日本の歴史を理解する上での重要な鍵となる書物です。その記録は、現在でも多くの研究者にとって貴重な情報源として利用されています。

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