大亜湾原子力発電所

大亜湾原子力発電所について

大亜湾原子力発電所は、中華人民共和国広東省深圳市竜崗区の大亜湾に位置する原子力発電所です。香港の北東に位置し、香港の電力供給にも重要な役割を果たしています。フランスのアレバ社の技術を基にした加圧水型原子炉2基で構成され、1号機は1993年、2号機は1994年に商業運転を開始しました。

歴史

建設当初、大亜湾原子力発電所は香港の住民から強い反対を受けました。1985年には、香港の立法会議員や住民団体が環境問題や安全性を懸念し、建設反対運動を展開しました。100万人近くの香港住民が反対請願書に署名したとされています。しかし、その後建設は進められ、1993年8月に1号機、1994年2月に2号機が稼働を開始しました。

組織形態

大亜湾原子力発電所は、隣接する嶺澳原子力発電所と共に、中国広核集団傘下の大亜湾核電運営管理有限責任公司（DNMC）によって運営されています。香港の電力会社である中電集団（CLPグループ）も出資しており、発電量の多くを香港に供給しています。株式の25%を中電集団が所有し、発電量の70%を購入しています。残りの75%は中国広核集団の完全子会社である広東核電投資有限公司が保有しています。

不祥事

鉄筋の欠落

1987年、1号機の原子炉の土台から316本の鉄筋が欠落していることが発覚しました。これは、設計図の誤認によるものと説明されましたが、香港の住民や専門家からは安全性を危惧する声が上がりました。欠落した鉄筋は、原子炉の土台の55%にも及ぶと指摘され、問題の重大さが浮き彫りになりました。その後、不足分の鉄筋を補うための措置が講じられました。

放射性物質漏洩の疑惑

2010年、燃料管からの放射性物質の漏洩があったとの報道がありました。当局はこれを否定しましたが、一部報道機関は放射性ヨウ素が漏洩したと報じました。中電集団は、漏洩が少なく安全基準値を下回っていたと説明し、香港の放射線測定施設でも空間放射線量の上昇は検出されませんでした。この件は、情報公開の遅れや安全基準の解釈を巡り、様々な議論を呼びました。

安全性

大亜湾原子力発電所は、安全性向上に積極的に取り組んでいます。2011年には、EDFエナジーが主催する原子力発電所安全コンペで、6つの賞のうち4つを受賞しました。これは、中国の原子力発電所として初の快挙であり、その安全管理体制の高さが評価されました。

大亜湾原子力発電所の運営会社幹部は、年間停止日数の少なさや被曝量の低さをアピールしており、安定した稼働状況を強調しています。特に、従業員の被曝量に関しては、63の原子炉と比較しても低い水準を維持していると述べています。

原子炉

大亜湾原子力発電所は、以下の2基の原子炉で構成されています。

1号機：Guangdong-1
2号機：Guangdong-2

関連項目

大亜湾原子炉ニュートリノ実験
嶺澳原子力発電所
中国の原子力発電所
CPR-1000
2011年の恵州製油所爆発事故

外部リンク

Hong Kong Nuclear Investment Co. Ltd (Flash Player required)
* Daya Bay Reactor Neutrino Experiment Website


大亜湾原子力発電所は、建設当初の鉄筋欠落問題や放射性物質漏洩の疑惑など、数々の課題を乗り越えてきました。安全性向上に努め、中国の原子力発電所の中でも高い実績を誇っています。香港の電力供給を支える重要なインフラとして、その役割は今後も重要となるでしょう。

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