大伴永主

大伴 永主（おおとも の ながぬし）

大伴永主は、奈良時代後期に活躍した貴族で、父は著名な中納言であった大伴家持です。彼はその血脈を受け継ぎ、官位としては従五位下および右京亮という役職に就いていました。永主の生涯は、政治的な動乱とその影響を色濃く反映しており、特に藤原種継暗殺事件に連座した結果の流罪が彼の運命を大きく左右しました。

経歴

大伴永主は延暦3年（784年）に、従五位下に叙爵され、同年10月には右京亮として任命されました。これにより、彼は当時の貴族社会において一定の地位を保持することとなります。しかし、彼の政治的なキャリアは予期せぬ事件によって一変しました。

延暦4年（785年）9月、藤原種継暗殺事件が発生します。この事件は、当時の権力闘争を背景に、多くの貴族を巻き込む波乱を引き起こしました。永主の父である大伴家持が事件の首謀者とされていたため、永主もこの事件に連座し、隠岐国への流罪という厳しい処罰を受けることとなります。この事件は彼の名声に暗い影を落とし、その後の政治的な活動を著しく制限する結果となりました。

流罪の後、永主の動向は不明となり、彼の人生の最期についての記録は残されていないものの、奈良時代後期の権力構造における彼の役割や影響については一定の評価がされています。

延暦25年（806年）、桓武天皇の命により、藤原種継暗殺事件に関与した者たちがその生死に関わらず本位に復されることが決定されました。この時点で、永主もかつての官位である従五位下に復されたことが記録されていますが、彼自身がこの時に生存していたかどうかは不明です。

官歴

大伴永主の官歴は『六国史』に記されており、以下のような詳細があります。

• - 延暦3年（784年）

- 正月7日：従五位下に叙爵
- 10月26日：右京亮に任命

• - 延暦4年（785年）

- 9月24日：官位剥奪

• - 延暦25年（806年）

- 3月17日：本位に復す（従五位下）

家族

大伴永主の家族については、父が大伴家持であることが知られていますが、母や妻の情報は不詳です。ただし、彼の娘が藤原豊彦の妻であったことが記録されています。これにより、永主の子孫が藤原氏とのつながりを持っていたことも、奈良時代の貴族社会の複雑な結びつきを示しています。

影響

大伴永主の生涯は、奈良時代の政治的問題や貴族社会の権力争いを反映しており、彼の事績や遭遇した事件は、当時の日本の歴史を理解する上で重要な要素となっています。彼の父としての立場もまた、彼の評価に影響を与えていると言えるでしょう。

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