大倉三佳

大倉 三佳

大倉 三佳（おおくら みか）氏は、1985年8月18日に三重県四日市市で生まれた日本の元女子プロ野球選手です。主に投手、内野手、外野手としてプレーし、右投げ右打ちのスタイルでした。

幼少期から野球への情熱

野球を始めたのは8歳の頃、小学校3年生の時でした。地元の少年野球チームの見学中にそのプレーに魅せられ、野球好きだった父親の後押しもあり、競技の世界へ足を踏み入れました。弟も同じチームに所属し、姉弟で共に白球を追う日々を送りました（弟は高校の途中まで野球を続けました）。

中学・高校時代の挑戦

中学時代には、硬式野球チーム「四日市トップエースボーイズ」に所属しました。当時の規定では女子選手の公式戦出場が認められていなかったため、女性であることを伏せて入団試験に臨んだというエピソードがあります。チームメイトには、1学年下の北海道日本ハムファイターズで活躍した市川卓氏がいました。また、中学時代の練習試合では、対戦相手だったダルビッシュ有投手（当時）からセンター前ヒットを記録したこともあります。野球と並行して学校の硬式テニス部にも所属し、東海大会に出場するなど、野球以外の分野でも高い運動能力を発揮しました。高校進学にあたっては、硬式野球部のある環境を求めて駒沢学園女子高等学校を選び、単身で上京しました。

大学・社会人そして再び大学へ

大学では、親への経済的な負担を考慮し、地元の桜花学園大学に進学しました。野球部がなかったためソフトボール部に入部しましたが、競技特性の違いに戸惑いを感じ、1年足らずで大学を離れることになります。その後は、三重県内の百貨店でアパレルショップの派遣社員として勤務しながら、桑名市の社会人クラブチームで野球を続けました。このクラブチームでの縁から、皇學館大学女子軟式野球部「ミラクルズ」のコーチ就任を打診され、これを受諾しました。さらに監督の勧めもあり、2008年4月には同学文学部に編入学し、選手としてもチームに加わりました。

皇學館大学での活躍とプロへの道

学業と並行してアルバイトをこなす多忙な日々の中、チームのエースとしてマウンドを守り続けました。その結果、東海地区の秋季リーグ戦でチームを初優勝に導き、翌2009年春季リーグでも連覇を果たしました。全日本大学女子野球選手権大会では準々決勝に進出し、その活躍が評価されて特別賞を受賞しました。同年10月に行われた女子軟式野球ジャパンカップでは、全日本大学女子野球連盟の選抜チームメンバーにも選ばれ、出場を果たしています。

2009年、日本女子プロ野球機構による第1回合同トライアウトを受験し合格。同年12月のドラフト会議で外野手部門の4巡目に指名され、京都アストドリームスへの入団が決まりました。これにより、皇學館大学は2010年3月に正式に中退しました。プロ野球選手として2013年シーズンまでプレーし、この年限りで現役を引退しました。

引退後の活動と再始動

プロ野球選手を引退した後も野球界との関わりは続きました。2015年には兵庫ディオーネのコーチを務め、2016年からは育成球団レイアの監督に就任しました。しかし、2017年4月に個人の事情により監督を辞任し、後任には橋本ひかり氏が就任しました。

その後、2017年12月には吉田奈津氏と共に、和歌山県田辺市を拠点とする硬式野球チーム「和歌山ファイティングバーズNANA」（現・和歌山Regina）に加入しました。再び選手としてグラウンドに立ち、2018年には関西ラッキーリーグBで最優秀防御率のタイトルを獲得するなど、引き続き高いレベルでのプレーを見せました。

プレースタイル

大倉氏は、高校時代に捕手も務めるなど、ほぼ全てのポジションをこなすことができる万能型のユーティリティープレイヤーとして知られています。特に女子選手としては群を抜く強肩の持ち主で、遠投87mの記録を持ちます。そのため、プロでは外野だけでなく、肩の強さが要求されるサードも多く任されました。投手としても本格派で、最速110km/hに迫るストレートに加え、カーブやスライダーを効果的に操り、巧みな投球術で打者を打ち取る能力を持っていました。打者としては、高校時代の公式戦で喫した三振はわずか一度という、卓越したミートセンスの持ち主でもありました。

人物像と野球観

小学校の卒業文集に「プロ野球選手になりたい」と書くなど、幼い頃からプロ野球選手を夢見ていました。プロでの目標としては「女子プロ初ホームラン」を挙げていました。理想とする選手として、投手ではダルビッシュ有氏と岩隈久志氏の名を挙げ、その理由として優れた制球力と変化球の鋭さを挙げています。打者ではイチロー氏を理想としていました。ドラフト会議で外野手として指名されましたが、本人は「投手がやりたい」と希望を公言していました。プロでの背番号は二桁を希望し「10」を背負うことになり、ちなみに皇學館大学時代は「18」でした。自身の性格については「短気」と自己分析しています。投手としては、球に力が伝わり変化球の切れが増す硬式野球の方がやりやすいと感じていました。

記録とタイトル

プロ野球時代には、2012年に打点女王のタイトルを獲得しました。また、ベストナインには2回（2012年、2013年ともに外野手部門）選出されています。個人記録としては、2012年9月1日に対兵庫スイングスマイリーズ戦（明石トーカロ球場）で、2回表に植村美奈子投手から左前打を放ち、100安打を達成しています。

もう一度検索