大内山平吉

大内山平吉（おおうちやま へいきち）の生涯

大内山平吉は、1926年6月19日に茨城県那珂郡平磯町（現在のひたちなか市）に生まれました。家業は漁師であり、彼は長男として誕生しました。幼少期から潜水の技術に長けており、プロの潜水士にも匹敵するほどの腕前を誇っていました。

小学校卒業後、漁を手伝う中で急成長し、1944年には双葉山相撲道場に入門しました。入門当時は相撲の経験が全くなく、新弟子時代は非常に苦戦していました。しかし、双葉山道場での過酷な稽古に励み、連続して努力を重ねるうちに成長していきました。

四股名と栄光

初めは本名の「大内」を名乗っていましたが、戦後の1948年にやっと「大内山」の名を名乗ることが許されました。1949年には新入幕を果たし、そして続く1955年には大関昇進を果たします。身長2mを超える彼は、土俵上での巨体が注目され、特に当時は「大き過ぎる力士は出世しない」というジンクスがあった中での快挙でした。

大内山は、1951年の場所で千代の山を倒し、続く場所で優勝を争う展開を迎えます。このとき、大内山は14日目で12勝2敗という好成績を収め、千秋楽では千代の山との対戦が組まれました。本割では見事に勝利を収めますが、優勝決定戦では敗北しましたにも関わらず、優勝同点として雷電賞を受賞しました。

現役生活と引退

その後、膝の故障などの影響で、1956年には負け越しが続き、1957年には十両に陥落してしまいます。しかし彼は、それでも栃錦を破る金星を獲得しました。これにより名のある力士として一時代を築いたものの、1959年には引退を決意し、年寄・錣山を襲名しました。

引退後は、自身の部屋を持たず、勝負検査役としてその場に留まりましたが、晩年には「割烹ちゃんこ 大内」の経営を始め、長男がその後を引き継ぎました。東京都千代田区にある病院で1985年に逝去し、59歳という若さでした。彼の死後、立田川部屋から初の関取となるべく後進が育ったことは、彼の業績を物語っています。

人物的人間性

大内山は、その巨体に反して非常に優しい性格であり、多くの人々に愛された存在でした。兄弟子たちとの交流においても、他者への思いやりを大切にしていました。特に、他の力士を傷つけることを嫌い、自分よりも相手を起点にした試合を好みました。そのため、彼は力士社会において特別な位置にいました。

大内山平吉の名は、力士としての成績だけでなく、その人間性においても深く刻まれており、今でも多くのファンに愛され続けています。彼の軌跡を振り返ることで、力士の栄光がどのようにして生まれるのか、その背景にある人間味や努力を感じ取ることができます。

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