大刀契

大刀契（だいとけい）

大刀契は、日本の皇位継承の際に重要な役割を果たしていた宝物です。三種の神器と並んで、特に皇室における象徴的な存在とされましたが、南北朝時代にはその存在が失われてしまいました。本稿では、大刀契の背景、構成、歴史的な意義について詳細にご紹介します。

大刀契の概要

大刀契は、前の天皇から新しい天皇に引き継がれる際に相伝される「宝器（レガリア）」の一つであり、具体的には大刀と符契を含みます。「大刀」は大刀2口と数本の節刀を指し、「契」は複数の符契や符節を指します。これらは唐櫃に納められ、皇位の交代時に授与され、さらには天皇の外出時にも持ち運ばれていました。

この表現自体は平安時代の文献『塵袋』に見られ、『小右記』によれば、初めてこの名称が使用されたのは天長10年（833年）の淳和天皇の即位に関する記録です。しかし、大刀契に関連する記述は、それ以前にもいくつか存在し、『日本後紀』や『続日本後紀』には、別の形でその存在が示唆されています。

大刀契の由来

大刀契の由来については、さまざまな説が存在します。『信経記』『中右記』『禁秘抄』などの文献では、元々百済から伝わったものとされています。特に、大刀が神功皇后の時代に百済から献上されたという言い伝えがあります。

ただし、甲斐や信濃などの古文献には、それに関する明確な情報はないことから、桓武天皇の時代に初めてレガリアとして位置付けられたのではないかという意見が強いです。このため、百済系の渡来氏族が受け継いだ品物であるという説もあります。また、百済の王のレガリアが日本に伝来したのは、百済の滅亡に伴うものであると考えられています。

大刀契の構成

大刀契は、以下の二つの要素から構成されていました。

大刀

- 大刀2口と数本の節刀から成っています。
- 一方の大刀は「三公闘戦剣」と呼ばれ、もう一方は「日月護身剣」と名付けられ、両方とも四神や北斗七星の彫刻が施されていたと言われています。
- 節刀は、出征する将軍が持つことでその任務を示す役割を持っていました。
- 大刀や節刀の長さは、一般的に2-3尺（約60-90センチメートル）でした。

符契

- 符契は兵を発する際に用いられ、魚の形を持つ数種類が存在します。
- 大きさは約2寸（約6センチメートル）で、これも唐の影響を受けていると見られています。

歴史的な経緯

平安時代には、大刀契は唐櫃に収められ、温明殿（賢所）に安置されていました。その際、呼称は「伝国璽」となりました。大刀契の大半は、内裏火災やその他の災害により失われ、復元されたものもありました。鎌倉時代までその相伝は続いたことが確認されています。

南北朝時代になると、大刀契は観応3年（1352年）の後光厳天皇の即位時までに失われ、その後は全く記録に残ることがなくなりました。室町時代以降、公卿の日記にもその名は見当たりません。

結論

大刀契は日本の皇室における重要な存在であり、その歴史や由来に関する多くの議論があります。特に百済との関係が深いことから、その文化的な影響が見受けられます。失われた宝物としての大刀契は、今後の研究によってさらなる情報が明らかにされることを期待されています。

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