大分銀行赤レンガ館

大分銀行赤レンガ館：歴史と現代が織りなす空間

大分県大分市の中央通りに佇む大分銀行赤レンガ館は、大正2年(1913年)に旧第二十三国立銀行本店として建てられた歴史的建造物です。設計を手掛けたのは、東京駅などの設計で名高い辰野片岡建築事務所。英国から輸入された赤レンガと白い御影石の組み合わせ、ドーム状の屋根が特徴的な、いわゆる辰野式建築の代表例と言えるでしょう。

この建物は、大分市中心部で現存する唯一の洋館として、その歴史的価値の高さが認められ、国の登録有形文化財に登録されています。

激動の時代と赤レンガ館

大正初期から昭和初期にかけては、旧第二十三国立銀行、その後大分合同銀行の本店として利用されました。しかし、第二次世界大戦末期の大分空襲により、建物内部は焼失。壁面のみが残るという大きな被害を受けました。

戦後、懸命な修復を経て、昭和24年(1949年)に再建。その後も大分銀行の本店として長く利用され続けました。昭和41年(1966年)に新本店が完成し、赤レンガ館は本店としての役割を終え、府内会館として貸しホールなどに利用されるようになりました。

平成5年(1993年)には、大分銀行の創立100周年を記念し、大規模な改築が行われました。改築後、再び銀行支店として利用されることになり、新たな歴史を刻むこととなります。しかし、平成27年(2015年)にはローンプラザ支店が移転し、しばらくの間は空き店舗の状態が続きました。

地域に開かれた新たな空間へ

平成30年(2018年)3月、赤レンガ館はリニューアルオープンを迎えました。大分銀行が設立した地域商社「Oita Made」や地元の人気コーヒー専門店「タウトナコーヒー」などが入居し、地域に開かれた複合施設へと生まれ変わりました。

リニューアルにあたっては、大正時代の竣工当時の赤レンガを内装に再利用するなど、歴史的建造物の特徴を最大限に活かす工夫が凝らされています。昭和24年の改築時に造られたコンクリートの柱や化粧梁も修復・再現され、歴史の重みを感じさせる空間となっています。さらに、平成5年の改築時に設置され、9時から15時までの営業時間しか刻まれていない大理石の時計も展示され、当時の様子を伝えています。

建築概要と受賞歴

所在地：大分県大分市府内町2-2-1
構造：RC造2階建
建築面積：775m2
竣工：大正2年（1913年）

赤レンガ館は、その歴史的価値と、現代的な感性を融合させた空間デザインが高く評価され、数々の賞を受賞しています。

平成5年（1993年）2月：活き粋大分まちづくり活性化特別賞（大分市）
平成5年（1993年）9月：日経ニューオフィス賞（財団法人ニューオフィス推進協議会）
平成6年（1994年）10月：グッドデザイン施設部門賞（財団法人日本産業デザイン振興会）
平成7年（1995年）2月：第1回大分市建築大賞（大分市）

大分市のシンボルとして

大分銀行赤レンガ館は、単なる建築物ではなく、大分市の歴史を刻み、地域の人々に愛されてきた象徴的な存在です。歴史と現代が調和したその空間は、これからも多くの人々を魅了し続けることでしょう。

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