ドーム

ドームの概要

ドーム（英：dome）は、建築における特有の屋根形状を指し、主に半球形をしています。ドームは、中心をアーチの頂点として平らに回転された形状であり、アーチと同様の構造的特性を持ち、自重やその他の荷重を下部に伝えることができます。このため、面外に支柱や壁がない場合が多く、大空間を覆うために非常に適しています。そのため、ドームは歴史的にも宗教的な建築物に多く使われ、特に古代ローマのパンテオンが有名です。日本語では「丸屋根」や「穹窿」とも呼ばれることがあります。

用語の由来

「ドーム」という言葉の語源はラテン語の「家（domus）」に由来します。また、英語の「dome」は、イタリア語の「ドゥオーモ」に影響を受けており、もともと「神の家」といった意味合いを持つ言葉です。ドームは、17世紀から18世紀のフランスやイギリスで建築用語として使われるようになりました。一方、アーチを基にした形状の屋根は「ヴォールト」と呼ばれます。

歴史

ドームの起源は非常に古く、約1万5千年前から2万年前の時代に、マンモスの骨や牙を用いた原始的な構造物が存在していたと言われています。その後、様々な文化でドームが建設されており、特にメソポタミアのハラフ文化（紀元前6100年〜5400年）やウバイド文化（紀元前5300年〜4000年）などで見られます。ローマ時代に入ると、ドーム建造技術がより進化し、木、石、煉瓦、コンクリートなど多様な材料が用いられました。

ローマとビザンティンの影響

ローマのドーム建築が特に有名で、パンテオンがその代表例です。パンテオンは2世紀に建てられ、直径およそ43.3メートルの無補強コンクリートでできたドームで、長い間最大のドームとして知られています。ドームの上部には「眼窓」と呼ばれる開口部があり、採光や換気の役割を果たしています。

ドームの技術と構造

ドームを四角い空間に載せる際には、入隅迫持技術が使用され、独自の工夫が求められます。特に円形のドームを四角い土台に載せる方法として、穹隅（pendentive）技術が発達しました。アヤソフィア（537年完成）はこの技術を使用している有名な例の一つです。

近世から現代のドーム

ルネサンス期に入り、ブルネレスキ設計の「サンタ・マリア・デル・フィオーレ大聖堂」は、今なお西欧最大の石造ドームとして知られています。また、オスマン帝国のドームも名高く、例えばスレイマニエ・モスクは素晴らしい例です。

さらに現代建築では、プレストレスト・コンクリートを使用した薄いドームや、屋内が陽圧に保たれるエア・ドームなどが登場しています。ジオデシック・ドームは、正三角形の構造によって強度を持たせた設計が特徴です。

結論

ドームは古代から現代まで様々な技術とスタイルで進化を続け、建築における重要な要素であり続けています。その形状や構造は、宗教や文化を超えた普遍的なシンボルとなっており、訪れる人々に荘厳な空間を提供しています。

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