大列車強盗 (1903年の映画)

『大列車強盗』（The Great Train Robbery）は、1903年にアメリカで公開されたサイレント映画であり、映画史において重要な位置を占める作品です。トーマス・アルバ・エジソンが率いるエジソン社によって製作され、エドウィン・S・ポーターが監督、製作、撮影を担当しました。

映画史における画期性

当時、映画撮影はワンシーンワンショットが主流で、カメラも固定されているのが一般的でした。しかし、『大列車強盗』は14のシーンで構成され、ロケーション撮影、縦の構図、並行描写、パン撮影など、映画独自の表現技法を駆使した最初期の作品の一つとして評価されています。これらの技術革新は、その後の映画製作に大きな影響を与えました。

この作品は、アメリカ映画で初めて本格的なプロットを持った作品としても知られており、映画史における古典として高く評価されています。1990年にはアメリカ国立フィルム登録簿にも登録されました。

公開と影響

1903年12月1日に公開された『大列車強盗』は、大ヒットを記録しました。この成功を受けて、ニッケルオデオンと呼ばれる5セントで鑑賞できる常設映画館が多数設立され、映画文化の普及に大きく貢献しました。ペンシルベニア州の映画館の開館時の上映作品も、この『大列車強盗』でした。

特徴的なシーン

映画のラストシーンで、強盗の男が観客に向けて発砲する場面は非常に有名です。エジソン社のカタログには、「このシーンは映画の冒頭にも最後にも使用できる」と記載されていたそうです。全編が遠景からのショットで構成されているこの作品において、このシーンだけがクローズアップで描かれている点も特徴的です。

西部劇としての位置づけ

『大列車強盗』は、世界初の西部劇映画と呼ばれることもありますが、近年では異論も存在します。その理由は、撮影場所が東海岸のニュージャージー州であったことや、強盗映画に着想を得ている点が挙げられます。また、この作品以前にも『キット・カーソン』や『パイオニアーズ』といった西部劇が存在したという指摘もあります。しかし、カウボーイ、拳銃、馬といった西部劇の基本要素が含まれており、列車強盗をテーマにしていることから、西部劇の原点として認識されています。

作品情報

監督・脚本・撮影: エドウィン・S・ポーター
出演:
保安官: A・C・エイバディ
乗客: ギルバート・M・アンダーソン
ラストシーンの強盗: Justus D.Barns
ダンスホールの女性: マリー・マーレイ

その他

エドウィン・S・ポーターは、1905年にパロディ映画『The Little Train Robbery』を製作しています。この作品は出演者が全て子供で、強盗に遭う列車もミニ機関車になっているのが特徴です。

『大列車強盗』は、その後の映画製作に多大な影響を与えた作品として、映画史にその名を刻んでいます。

参考資料

大列車強盗 - IMDb（英語）
大列車強盗 - TCM Movie Database（英語）
大列車強盗 - オールムービー（英語）
大列車強盗 - allcinema

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