大利久美

大利 久美: 競歩選手の軌跡

大利久美（おおとし くみ）は、1985年7月29日に埼玉県で生まれた日本の元陸上競技選手で、競歩を専門にしていました。彼女の陸上競技における道のりは、意外な出発点から始まりました。

彼女は西武学園文理中学校と高等学校を経て日本女子体育大学を卒業しましたが、中学校時代はスポーツとは縁のない生活を送っていました。高校に進学すると、友人との会話から「何か青春を楽しもう」と思い立ち、陸上競技部への入部を決意しました。最初は中距離選手として活動をスタートしましたが、競歩を専門とする先輩の姿に刺激を受け、そのスタイルを真似てみたところ、思いのほかうまくいき、そこから競歩への転向を果たします。

高校生活の中で、彼女は競歩に取り組むことで記録が向上していきました。特に強い印象を受けたのは、高校3年生の時に出場した第58回国民体育大会での出来事でした。そこで、後に活躍する渕瀬真寿美選手に敗れたことは、大利に競歩への熱意を新たにさせる契機となりました。

大学へ進むと、日本女子体育大学では関東インカレにて10,000m競歩で3連覇を達成します。卒業後の2008年に富士通に入社しましたが、初めは思うような成績が残せませんでした。しかし、同じチームに日本女子競歩の第一人者である川崎真裕美選手が加入したことで、彼女に刺激を受け、次第に成績が上がるきっかけを得ます。

2009年、世界陸上競技選手権の日本代表選考会で3位に入ると、初めて世界選手権の舞台に立つことが決まりました。彼女の成果は、世界選手権女子20㎞競歩で12位という結果を残しました。さらに、アジア陸上競技選手権大会では2009年と2010年に連覇を果たし、日本陸上競技選手権大会でも2011年から2013年にかけて女子20㎞競歩で3連覇を達成するという偉業を成し遂げました。

特に2012年、日本陸上競技選手権大会ではロンドンオリンピック代表選考会の役割を果たし、条件である1時間30分を切ることが求められていました。大利はそのレースで1時間29分48秒を記録し、見事にオリンピック出場の切符を掴みました。ロンドンオリンピックでは、37位という結果で大会を終えましたが、彼女の努力と成果は他の選手たちの目標となりました。

2013年9月には全日本実業団対抗陸上競技選手権大会を最後に現役を引退しました。彼女の競技人生は多くの人々に勇気を与え、後輩たちにとっても大きな刺激となる存在です。彼女の努力と情熱は、多くの競歩選手やファンに感動を与え、今なお語り継がれています。

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