大原誠

大原誠(1937年10月24日-2018年10月6日)は、日本のテレビドラマ界に多大な貢献を果たしたNHKの演出家です。京都府出身で、京都大学文学部イタリア文学科卒業後、1960年にNHKに入局しました。

NHK在籍中は、主にテレビ文芸部に所属し、数々の大河ドラマをはじめとするドラマ作品を手掛けました。その演出手腕は高く評価され、1990年にはNHKドラマスペシャル『不熟につき…』で芸術選奨文部大臣賞を受賞するなど、数々の賞に輝きました。代表的な演出作品として、大河ドラマ『草燃える』『徳川家康』『元禄繚乱』『八代将軍吉宗』などが挙げられます。これらの作品は高い視聴率を獲得し、日本の歴史ドラマの金字塔として現在も語り継がれています。また、『樅ノ木は残った』や『元禄太平記』、『風と雲と虹と』など、数多くの名作を世に送り出しました。

大原氏の演出スタイルは、歴史への深い造詣と、登場人物たちの心情を繊細に描くことに特徴がありました。単なる歴史ドラマにとどまらず、人間ドラマとしての深みと感動を視聴者に届けることに常にこだわり、時代考証にも細心の注意を払っていました。その緻密な演出は、多くの視聴者から高い評価を受け、数々の賞を受賞するに至った要因の一つと言えるでしょう。

大河ドラマ以外にも、『銀河ドラマ「霧の旗」』、『NHK新大型時代劇「真田太平記」』、『マドンナは春風にのって』、『腕におぼえあり』、『坊っちゃん -人生損ばかりのあなたに捧ぐ-』など、様々なジャンルのドラマを演出。NHK退職後も、民放でドラマ演出を続け、幅広い分野で活躍しました。TBS系月曜ミステリー劇場『狼女の子守唄』、テレビ朝日系土曜ワイド劇場『疑惑』、日本テレビ放送網『二十四の瞳』など、民放局でも高い評価を得る作品を多く残しています。

大原氏の貢献は、ドラマ制作にとどまりません。後進の育成にも力を注ぎ、東京芸能学園高等部アクターズコースの顧問を務めるなど、若い世代の指導にも携わっていました。その指導は、多くの若手演出家を育成することに繋がりました。また、自ら演出した大河ドラマ『草燃える』の家庭用VTRを16回分も寄贈するなど、日本の映像文化の発展に貢献しました。

プライベートでは、次男の大原拓氏もNHKに入局し、演出家として活躍しています。親子二代に渡り、日本のテレビドラマ界を支えたと言えるでしょう。2018年10月6日、肺癌のため80歳で逝去。日本のテレビドラマ史に大きな足跡を残した大原誠氏の功績は、これからも多くの人々に記憶されることでしょう。その才能と情熱は、後世の映像作家たちに大きな影響を与え続けるに違いありません。彼の著書『NHK大河ドラマの歳月』は、日本のテレビドラマ史を知る上で貴重な資料となっています。和田勉氏、深町幸男氏らと共に、日本のテレビドラマ黄金時代を築いた巨匠の一人として、その名は永遠に記憶されることでしょう。

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