大和保男

大和保男

日本の陶芸界において、萩焼の第一人者として知られる大和保男氏は、1933年に山口県山口市で生まれました。山口県指定無形文化財「萩焼」の保持者として、その卓越した技術と表現力が高く評価されています。また、山口県立大学大学院の非常勤講師を務めるなど、後進の指導にも熱心にあたっています。

陶芸の道へ

大和氏の陶芸の道は、太平洋戦争が激しさを増していた幼少期に遡ります。陶工が兵役に召集された影響で人手不足となった実家を助けるため、小学生の頃から窯の手伝いを始めました。早くから陶土に触れ、作陶の基礎を学ぶことになります。中学生になる頃には、父の熱心な指導のもと、一人前の陶工へと成長を遂げました。この幼い頃からの経験が、生涯にわたる陶芸家としての礎を築くことになります。

経歴と活動

1980年には、日本工芸会山口支部の幹事長に就任し、工芸界の発展にも尽力しました。その長年の功績と萩焼における貢献が認められ、1988年には山口県の指定する無形文化財に認定されました。これは、伝統技術の継承者としての地位を確立した重要な出来事です。国内だけでなく、海外へも積極的に活動の場を広げ、2000年にはフランスのパリで「萩焼400年パリ展」を開催し、日本の伝統工芸である萩焼を広く世界に紹介しました。

主な受賞と栄典

大和保男氏は、その優れた作陶技術と芸術性により、数々の賞を受賞しています。

1957年 光風会展工芸賞
1959年 日展入選
1973年 山口県芸術文化振興奨励賞
1975年 日本伝統工芸展入選
1979年 日本工芸会山口支部展支部長賞
1984年 日本工芸会山口支部展支部長賞
1986年 朝日新聞社賞
1986年 田部美術館「茶の湯の造形展」奨励賞
1989年 山口県選奨
1992年 中国文化賞
2005年 日本工芸会賞
2007年 旭日小綬章

これらの受賞歴は、大和氏が長年にわたり、工芸界、特に萩焼の分野で国内外から高い評価を受けてきた証です。

著書

作陶活動の傍ら、著述活動も行っています。2005年11月1日には、著書『萩焼異伝 逆さ獅子 激浪の遙かに』（ザメディアジョン刊）を出版し、自身の陶芸観や萩焼に関する考察をまとめています。

萩焼への貢献

大和保男氏は、幼少期から培った技術と経験をもとに、伝統的な萩焼の技法を守りつつ、現代における萩焼の可能性を追求してきました。山口県指定無形文化財保持者として、その技術の継承と普及に努める一方で、作家としても常に新たな表現に挑戦しています。国内外での活動や教育活動を通じて、萩焼の魅力を伝え、その地位向上に大きく貢献しています。日本の陶芸史、特に萩焼の歴史において、大和保男氏の存在は極めて重要であり、その功績は広く認められています。

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