大和田幸治

大和田幸治の生涯

大和田幸治（おおわだこうじ）は、1927年に大阪市天王寺区で生まれ、2012年3月17日に亡くなるまで、日本の労働運動に多大な影響を与えた活動家です。彼の経歴は、労働者の権利を守るための闘争に彩られています。

労働運動への参加

大和田は1944年、当時在籍していた大阪市立都島工業学校の最中に、桜島の住友プロペラへ動員されることになります。彼の家庭は小さな鉄工所を営んでいましたが、父親は戦争で戦死し、母親は乳児を連れて疎開を余儀なくされました。1946年に三菱化工機に仕上げ・組み立て工として就職し、労働組合に参加しました。その後、職場の代議員や執行委員、副組合長などを経て、労働者の声をより強く届ける立場に立ちました。

1964年には、組合が同盟金属を脱退して全金に加盟し、全金田中機械支部委員長に就任します。ここから彼は、正社員化や男女賃金差別の撤廃といった重要な成果を導き出すことになります。彼のリーダーシップの下、労働者たちは企業間の横のつながりを重視し、地域での団結を強めていきました。

主要な闘争

大和田は、企業の倒産に伴う上部資本や金融資本の責任を追及し、「使用者概念拡大の闘争」や「西高東低」と称される高額賃上げ闘争など、多くの戦いを展開しました。彼の指導のもとで、田中機械は1978年に自己破産を申し立て、全従業員が解雇される事態に見舞われます。しかし、大和田とその仲間たちは工場を占拠し、自主生産を続けながら、法的手段や労働委員会での活動を通じて労働者の権利を守るために奮闘しました。

彼らの努力により、労働委員会から倒産・解雇無効の判断が下され、最終的に1999年には全面勝利を収めることができました。この「田中機械破産突破闘争」は、大和田の人生において重要な出来事の一つでした。

国鉄闘争とその後

大和田は国鉄闘争にも熱心に取り組み、1998年にはJR各社の不当労働行為を否定する判決を受け、港合同、関西生コン支部、動労千葉の三労組共闘を立ち上げました。国労による四党合意を受け入れた後も、労働者の権利を守るための闘争を断つことはありませんでした。2010年には国鉄闘争全国運動の呼びかけ人の一人としても活躍しました。

晩年と死去

大和田は2011年に大腸がんの全身転移を告知されましたが、闘争や学習会の講師としての活動を続け、85歳でこの世を去るまで多くの人々に影響を与えました。彼の死後、多くの労働関連の雑誌や機関紙に追悼文が掲載され、その影響力の大きさを物語っています。2012年7月には追悼集も刊行され、彼の功績を称える声が挙がりました。


大和田幸治の生涯は、労働者の権利のための闘争の連続でした。彼の取り組みは多くの人に影響を与え、今もなおその精神は次世代の活動に受け継がれています。

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