大垣昌夫

大垣 昌夫

大垣 昌夫（おおがき まさお）は、1958年（昭和33年）4月16日、大阪府に生まれた日本の著名な経済学者です。現在は同志社大学経済学部の特別客員教授として教鞭をとっています。その専門分野は多岐にわたり、マクロ経済、国際経済学、計量経済学、そして近年注目される行動経済学など、現代経済学の主要な領域を横断しています。

大垣氏の学術的キャリアは、1982年に大阪大学経済学部を卒業したことから始まります。その後、同大学大学院経済学研究科で博士前期課程を修了し、さらに知見を深めるため渡米。経済学研究の世界的拠点であるシカゴ大学の博士課程に進みました。シカゴ大学在学中には、後の2013年にノーベル経済学賞を受賞することになる著名な経済学者、ラース・ハンセン氏に直接師事するという貴重な経験を得ています。ハンセン氏との師弟関係は、大垣氏の学術的な基盤形成において重要な意味を持ったと考えられます。ちなみに、ラース・ハンセン氏は2009年に慶應義塾大学に1年間客員教授として在籍しており、日本との縁もありました。

シカゴ大学でPh.D.（博士号）を取得した大垣氏は、アメリカ合衆国で研究者としてのキャリアを本格的にスタートさせます。1988年にはロチェスター大学経済学部の助教授に着任。その後、1994年にはオハイオ州立大学に移り、こちらも助教授を務めます。教育と研究において実績を積み重ね、2002年には同大学の教授に昇進しました。アメリカの著名な大学で教鞭をとり、研究活動を行うことは、国際的な学術ネットワークを構築する上でも大きな財産となります。

アメリカでの活躍と並行して、大垣氏は学術ジャーナルの編集にも携わりました。経済学の分野で権威ある学術誌の一つである『Journal of Money, Credit and Banking』において、2003年から2009年まで編集委員（Editor）を務めています。これは、大垣氏が当該分野において国際的に認められた研究者であることを示すものです。

長きにわたるアメリカでのキャリアの後、2009年に日本へ帰国し、慶應義塾大学経済学部の教授に就任しました。慶應義塾大学では、自身の専門分野に関する教育・研究を精力的に行うとともに、多くの後進の指導にあたりました。大学の公式ウェブサイトには、当時の教育に対する考え方や、行動経済学に関するインタビュー記事などが掲載されています。

さらに、大垣氏は日本の経済学界における要職も歴任しています。2021年には、日本の経済学者の主要な組織である日本経済学会の会長に就任し、学会の運営や経済学研究の発展に貢献しました。これは、日本国内における大垣氏の学術的な影響力と、経済学コミュニティからの厚い信頼を示す出来事と言えます。

現在、大垣氏は同志社大学経済学部の特別客員教授として、引き続き教育・研究活動を行っています。マクロ経済、国際経済、計量経済、行動経済学といった多様な専門性を持ち、国内外の著名な研究者との交流や、主要な学術ジャーナルの編集委員経験、そして日本経済学会会長といった要職を歴任してきたそのキャリアは、日本の経済学研究において非常に重要な位置を占めています。自身が主宰する研究会（ゼミ）や、X（旧Twitter）などのソーシャルメディアを通じて、活発な情報発信も行っています。

その研究は、理論的な側面から実証的な側面まで幅広くカバーしており、特に人間の行動や心理が経済活動に与える影響を分析する行動経済学への関心も深く、教育や研究において新たな視点を提供しています。シカゴ大学で培われた厳密な分析手法と、長年の国際的な研究経験、そして行動経済学のような最新分野への探求心は、大垣氏の経済学者としての大きな特徴と言えるでしょう。

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