大塚利兵衛

大塚 利兵衛（おおつか りへえ）の生涯

大塚利兵衛は、1922年10月31日に静岡県で生まれました。彼の若き日々は、第二次世界大戦と深く関わっており、学徒動員の一環で海外、特にマレーシアに派遣されました。戦後、彼は同国の刑務所で捕虜としての生活を強いられることになりますが、1947年に帰国し、その後は中央大学に復学しました。

大学在学中、彼はNHKのアナウンサー募集という広告を見つけ、これに応募。幸運にも合格し、NHKに入局しました。彼と同じ時期に入局した同僚には、小川宏、八木治郎、木島則夫、野村泰治といった名アナウンサーが名を連ねていました。

大塚は最初に、NHK釧路放送局やNHK札幌放送局での経験を積み、最終的には東京アナウンス室に異動しました。彼のアナウンサーとしてのキャリアのほとんどを報道番組に捧げ、特に現場取材を重視するスタイルで知られていました。

1959年には、伊勢湾台風の際に名古屋市内を取材しました。この豪雨による被害を伝える中で、彼は報道の難しさを痛感しました。彼は、「レポートする前にテレビカメラをのぞいてみました。カメラが広い光景を撮ったとき、どこまで入るのか、ズームしてよるとどれぐらい拡大できるか、確認しました。もう一つは、大変悲惨な情景を目にしているのに、カメラが写しだした映像は、きらきら光る水面の向こうに、家や松の木があり、後ろには雑木林が見えるきれいな光景でした。このため、水の下には、実は収穫直前の稲もみんな沈んでいることを、言葉で補わないと、悲惨な現実が伝わらないことを思い知らされました」と語っています。この言葉からは、彼が報道の背後にある一面をしっかりと捉え、視聴者に真実を伝えようとする姿勢が伺えます。

その後、大塚は早朝のワイド番組『スタジオ102』の総合司会を担当し、多くの視聴者から親しまれる存在となりました。さらに、彼が出演した主な番組には『NHKきょうのニュース』、後の『NHKニュース7』の前身となる番組もありました。これらの番組を通じて、彼は視聴者に多くの情報を提供し、報道の重要性を世に伝えていくことに寄与しました。

1982年にNHKを退職した後は、フリーアナウンサーおよびジャーナリストとして活躍の場を広げました。彼の経験と知識は、報道の分野において非常に貴重なものであり、多くの人々に影響を与え続けています。大塚利兵衛という名は、現場での取材や報道のあり方を示す象徴的な存在として、今もなお語り継がれています。

代表的な出演番組

• - スタジオ102
• - NHKきょうのニュース
• - あすの資源
• - 資源情報'84

大塚利兵衛は、報道界におけるその業績によって、多くの後進のアナウンサーやジャーナリストにも影響を与え、報道の現場におけるプロフェッショナルとしての姿勢を体現した人物として記憶されることでしょう。

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