大塚滋 (食物史学者)

大塚滋

大塚滋（おおつか しげる、1928年2月1日 - 2023年8月8日）は、日本の食品化学者、食物史研究者であり、文学雑誌の同人でもありました。彼は武庫川女子大学の元教授であり、食文化論と食品化学を専門としていました。

経歴

新潟県で生まれた大塚滋は、大阪大学理学部を卒業しました。1961年には「肝臓ニトロ基還元酵素系に関する研究」で理学博士号を取得しています。その後、大阪府立大学の助教授、東洋食品工業短期大学の教授、米国マサチューセッツ州ウースター生物学研究所の研究員を経て、武庫川女子大学の教授に就任しました。武庫川女子大学では生活美学研究所の研究員も兼任し、1998年に退職しました。2023年8月8日に95歳で逝去されました。

業績

大塚滋は、食品化学と食文化に関する広範な研究を行い、数多くの著書を出版しました。彼の著作は、食文化史、食品の科学、食生活など、多岐にわたるテーマを扱っており、一般読者にもわかりやすく解説されています。以下に主な著書を挙げます。

『ああ星条旗 アメリカの顔』 (1970年)
『たべもの文明考』 (1971年、1978年)
『未来のたべもの』 (1972年)
『食の文化史』 (1975年、2021年)
『食の生活学』 (1979年)
『農業・園芸・水産業への道』 (1980年)
『たべもの事始』 (1984年)
『カレーライスがやって来た 日本たべもの事始』
『しょうゆ世界への旅』 (1987年)
『<食>の昭和史 2　主食が変わる パン・麺』 (1989年)
『味の文化史』 (1990年)
『野の牝鶏』（小説集） (1994年)
『元気のでる野菜!』 (1997年)
『パンと麺と日本人 小麦からの贈りもの』 (1997年)
* 『食育うんちく事典』 (2008年)

また、石毛直道、篠田統との共著『食物誌』(1975年)、飴山実との共編著『酢の科学』(1990年)、川端晶子との共編著『21世紀の調理学 調理文化学』(1996年)など、共同研究も積極的に行いました。さらに、『世界の食文化』全20巻（石毛直道監修）の共編者の一人としても貢献しました。

エリザベス・M・ウエラン、フレドリック・J.ステア『食卓の恐怖 食品神話の陥し穴』の翻訳も手がけるなど、海外の食に関する知識の普及にも尽力しました。

研究内容

大塚滋の研究は、食品の化学的な側面だけでなく、食文化の歴史や社会的な意味合いにも及んでいます。彼は、食が単なる栄養摂取の手段ではなく、文化や社会と深く結びついていることを示しました。例えば、「たべもの文明考」や「食の文化史」などの著作では、食の歴史を紐解きながら、現代の食生活の問題点や未来の食のあり方について考察しています。また、「しょうゆ世界への旅」では、日本の伝統的な調味料である醤油が世界に広まっていく過程を詳細に tracing し、食文化の国際的な交流について考察しています。

大塚滋の学術的な業績は、食品化学、食文化研究に大きな影響を与え、彼の著作は、食に関心を持つ多くの人々に読み継がれています。

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