石毛直道

石毛直道氏(1937年11月30日-)は、日本を代表する文化人類学者の一人である。その専門は文化人類学、特に食文化論に造詣が深く、長年にわたるフィールドワークと豊富な著作で知られる。

氏は千葉県出身。京都大学文学部史学科を卒業後、同大学院文学研究科修士課程を中退し、京都大学人文科学研究所助手として研究活動を開始した。その後、甲南大学文学部講師、助[[教授]]を経て、1974年に国立[[民族学博物館]]助[[教授]]に就任。1986年には教授に昇進し、1997年から2003年まで館長を務めた。2003年には国立[[民族学博物館]]と総合研究大学院大学の名誉[[教授]]となった。2016年には春の叙勲で瑞宝中綬章を受章、2021年には文化功労者に選ばれるなど、その功績は高く評価されている。

石毛氏の研究活動は多岐にわたる。タンザニア、リビア、トンガ王国、西イリアン、ハルマヘラ島など、世界各地でフィールドワークを実施。東南アジア、東アジアの食文化についても深く研究し、独自の視点から考察を行った。リビア砂漠縦断探検に参加した経験も持つなど、行動力も並々ならぬものがある。その研究成果は膨大な著作に結実しており、単著だけでも『食生活を探検する』『リビア砂漠探検記』『食いしん坊の民族学』『食卓の文化誌』『食事の文明論』など、数多くの書籍を執筆している。これらの著作は、分かりやすい文章で書かれており、専門家以外の人にも広く読まれている。また、共著や編著も多く手掛け、日本の食文化研究に多大な貢献を果たした。

さらに注目すべきは、氏の旺盛な食欲である。自他共に認めるほどの「食いしん坊」として知られ、小松左京氏から「大食軒酩酊」という雅号を贈られたほどである。この食への情熱は、氏の研究活動にも大きく影響を与え、食文化研究における独自の視点を生み出したと言えるだろう。

石毛氏の研究は、単なる学術的な探求にとどまらない。氏は、食を通して人々の生活や文化、歴史を深く理解しようと努めてきた。その活動は、学術界のみならず、広く社会に大きな影響を与えている。

また、石毛氏は多くの著名な研究者との交流があり、梅棹忠夫氏、佐々木高明氏、小松左京氏、加藤秀俊氏、本多勝一氏、米山俊直氏、佐原真氏、谷泰氏、小山修三氏、桂米朝氏、荻昌弘氏、奥村彪生氏、熊谷真菜氏など、多様な分野の第一人者と親交を深めていた。安藤百福氏や安藤スポーツ・食文化振興財団評議員なども務めていた。

石毛直道氏の研究は、現代社会において、文化人類学、そして食文化研究の重要性を改めて認識させるものである。その多様な業績は、後世の研究者にとって貴重な遺産となるだろう。中国には、氏の功績を称えて「石毛直道研究中心」が設立されていることからも、その国際的な影響力の大きさがわかる。2017年には日本経済新聞「私の履歴書」に連載されたことも記憶に新しい。

石毛氏の功績は、単に学術的な成果にとどまらず、食文化への理解を深め、人々の生活を豊かにする上で大きな役割を果たしていると言える。これからも、氏の研究姿勢と知見は、多くの人々にインスピレーションを与え続けるだろう。

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