大失恋。

大失恋。

概要

『大失恋。』は、清水ちなみ監修の書籍と、それを原作とした映画作品です。書籍は、1993年に「OL1600人委員会」のメンバーが、自身の失恋体験を赤裸々に綴ったエピソード集として出版されました。1996年には扶桑社文庫から文庫本も発行されています。

映画は、1995年1月21日に東映系で公開されました。103分の本編では、遊園地を舞台に8つの異なる失恋物語が同時進行する、独特なオムニバス形式のドラマが展開されます。

映画の特徴

この映画の最大の特徴は、複数の物語が同時進行する中で、各物語の登場人物たちが、互いの物語とは直接関係のない場面で交錯するという点です。例えば、以下のようなシーンが見られます。

「誘拐犯と人質」の物語に登場する森且行と京野ことみが、「ダブルデート」の物語に登場する菅野美穂と宝生舞がアルバイトをするハンバーガーショップで買い物をします。
「ナンパ」の物語に登場する中谷美紀が遊園地のパレードで転倒し、「不倫とお見合い」の物語に登場する山口智子が演じる遊園地の係員に介抱されます。
「結婚詐欺師」の物語に登場する野村宏伸と鈴木京香が、「占い師」の物語に登場する山崎直子が働くホテルで結婚式の予約をします。

さらに、遊園地自体が女性の意志を持っているかのようなナレーションや、物語の進行がクリスマス・イブからバレンタインデーへと進んでいく演出も、恋愛を強く意識させる効果を生み出しています。

物語は主に、「12月のある金曜日」「次の日曜日」「1月のある日曜日」「2月のある日曜日」「2月14日」という時間軸で描かれています。

ストーリー

各エピソードの詳細は以下の通りです。

「不倫とお見合い」
妻子ある男性と不倫中の女性が、父親の勧めで見合いをすることになります。見合いの当日、不倫相手が家族と遊園地に来ていることを知り、見合い相手と遊園地を訪れながら、不倫相手の様子を探ります。
「ダブルデート」
恋人との関係に倦怠期を感じている女性が、友人とその彼氏とダブルデートを企画します。しかし、そのデートがきっかけで、彼女の心境に変化が生じます。
「結婚詐欺師」
観覧車でプロポーズされた女性が、結婚式の準備を進めますが、実は相手は結婚詐欺師でした。
「ナンパ」
遊園地で恋人に待ちぼうけを食らった女性が、ナンパ男に強引にデートに誘われます。
「誘拐犯と人質」
ナンパ男に誘われて遊園地にやってきた女子中学生。実は、男の目的は、彼女の父親から身代金を奪うことでした。
「占い師」
遊園地で占い師として働く男性が、以前痴漢だと勘違いされた女性に、占いを通して再会します。
「ゲームに恋して」
ゲームが苦手な中年会社員が、部下に誘われて遊園地のアトラクションに参加したことをきっかけに、進行役の女性に恋をします。
「観覧車の女」
素敵な恋を夢見る女性が、観覧車デートを繰り返しながら、運命の相手を探します。

キャスト

ナレーター：村上里佳子
「不倫とお見合い」
真由美：山口智子
藤川：辰巳琢郎
杏子：吉川十和子
山村：加藤雅也
「ダブルデート」
佳江：菅野美穂
浩二：河相我聞
恵美：宝生舞
達也：岸[[本祐二]]
access（浅倉大介、貴水博之）
「結婚詐欺師」
君彦：野村宏伸
美智子：鈴木京香
尚子：羽野晶紀
「ナンパ」
明夫：武田真治
麻美：中谷美紀
占い師：ベンガル
「誘拐犯と人質」
純：森且行
絵里：京野ことみ
野々村：上田耕一
「占い師」
芳明：萩原聖人
真紀：山崎直子
山岡：斎藤洋介
瀬川：袴田吉彦
「ゲームに恋して」
柳田：舘ひろし（特別出演）
大島：深江卓次
沢田：三橋貴志
奈美：水野美紀
丸山：イジリー岡田
「観覧車の女」
典子：瀬戸朝香
松村：清水圭
倉本：羽賀研二
川合：松岡俊介
洋介：西島秀俊

スタッフ

企画：黒澤満、一瀬隆重
プロデューサー：服部紹男、石原真
原作：清水ちなみ
脚本：尾崎将也、大森一樹
監督：大森一樹
音楽：加藤和彦
* 主題歌：access「COSMIC RUNAWAY」「TEAR'S LIBERATION」

撮影場所

神戸六甲アイランドAOIA、横浜・八景島シーパラダイス、東京ドームシティアトラクションズ

その他

2003年3月、東映ビデオよりDVDが発売されました。

『大失恋。』は、様々な恋愛の形を通して、人が抱える感情や心の機微を鮮やかに描き出した作品と言えるでしょう。

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