大奥 (1968年のテレビドラマ)

『大奥』について

『大奥』は1968年から1969年にかけて放送された連続時代劇で、関西テレビが東映と共同で制作した作品です。このドラマは、江戸時代の将軍の妻たちが生活した「大奥」を舞台に、女性たちの権力争いや愛憎劇を描き出しており、全52話にわたって物語が展開されました。

作品の背景

本作は、過去に制作された同名の映画『大奥㊙物語』を元にしており、当初の内容から過激な要素を削ぎ落とし、女性同士の権力争いに焦点が当てられました。『大奥』というタイトルは、映画の制作過程で関西テレビからの要請によって決定されたものです。この作品は、「女性時代劇」として新たなジャンルを開拓し、最高視聴率30％を記録し、多くの視聴者の共感を得ました。

制作の経緯

このドラマのプロデューサーである岡田茂は、時代劇が衰退する中でテレビ制作に力を入れようと決断し、時代劇の制作をテレビに移行することを提案しました。岡田は、京撮を改革し、さまざまな時代劇を手がけてきた経験から、関西テレビからの開局10周年企画において『大奥』のテレビシリーズ化を推進しました。キャスティングは岡田が担当し、脚本も彼の指導の下で作成されました。

多くの著名な女優たちがこのドラマに出演し、一回あたり200万から300万円の衣装が用意されるなど、制作には相当な費用がかかりました。当時関西テレビではカラー放送がまだ普及しておらず、カラーでの放送が実現したことも視聴者にとって新鮮な体験となりました。

反響と影響

『大奥』は放送開始から早々に視聴率20％を超え、当初の予定よりも放送期間が延長されるほどの人気を誇りました。そのため、テレビ制作のノウハウを持たなかった関西テレビにとって、本作は制作の指針となり、以後の時代劇制作の基盤となりました。また、時代劇に対する偏見があった中で、視聴率の上昇と共に女優たちの間で『大奥』に出演することが一つのステータスになり、出演希望者が増えたことも注目される点です。

キャストとストーリー

主なキャストには、橘ますみ、中山仁、三益愛子などが名を連ね、各話ごとに異なるドラマが展開されました。物語は家光が見染めた娘を起点に、女性たちの嫉妬、陰謀、親子の絆など、多彩なテーマが盛り込まれています。特に、各話で描かれる登場人物の人間模様は、視聴者に深い感情的な影響を与えました。

再放送と影響

『大奥』は放送終了後も多くの再放送が行われ、近年ではYouTubeでの配信も始まるなど、その影響力が続いています。初のカラー放送であり、視聴者に強い印象を残したことで、後の作品制作にも影響を与えました。

このように、『大奥』は日本のテレビドラマ史において重要な作品となり、時代劇の新たな可能性を示すものとして語り継がれています。

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