大学の山賊たち

大学の山賊たち：北アルプスの青春活劇

1960年、東宝が贈る青春活劇映画『大学の山賊たち』。岡本喜八監督が手がけ、『電送人間』の関沢新一氏と共同で脚本を執筆した本作は、北アルプスの雄大な自然を舞台に、個性豊かな登場人物たちが織りなす予測不能な物語です。

ストーリー：天狗の壁と予期せぬ出会い

舞台は、険しい峰々が連なる北アルプス。「天狗の壁」と呼ばれる難所への挑戦を続ける大学山岳部―通称「山賊グループ」―の物語は、3年間の挑戦の失敗から始まります。4度目の挑戦も、鋭い洞察力を持つメンバー「胃袋」の予言により、襲来する吹雪によって阻まれます。

下山途中、彼らは東京の丸久デパートに勤める5人の女性社員と出会います。山賊グループは彼女たちを強引に下山に巻き込み、その途中で軽装で登山し遭難した丸久デパート社長を救出します。一行は、丹羽荘という山小屋に避難することになります。

しかし、この山小屋には、30年前に亡くなったという持ち主の幽霊騒動が待ち受けていました。なんと、山小屋を買収しようとしていた丸久デパート社長と亡くなった持ち主は瓜二つで、未亡人は社長を幽霊と間違えて大騒ぎ。

さらに、ケンとサブという2人組の強盗が南国の皇太子になりすまし、山小屋の住人である六助を騙して侵入してきます。警官隊に追われた2人が発砲した銃声が、雪崩を引き起こし、山小屋への唯一のルートを閉ざしてしまいます。

新しいルートが開通するまでには20日かかる見込み。食料が底をつき始めた山賊たちは、頂上のカモシカ小屋にある非常食を取りに行く決断を下します。

そして、ついに救援隊が到着。一行は、数々の困難を乗り越え、無事に山を下りるのでした。

魅力的なキャラクターたち

本作には、「お頭」、「宇宙」、「胃袋」、「税務署」といった個性的な山岳部員たちが登場します。それぞれのキャラクターが持ち味を発揮し、物語に彩りを添えています。また、丸久デパートの女性社員たちや、強盗、そして山小屋の住人など、様々な登場人物が絡み合い、予測不能な展開を生み出しています。

さらに、上原謙氏、越路吹雪氏、堺左千夫氏ら、名優たちが脇を固め、物語に深みを与えています。

岡本喜八監督の世界観

岡本喜八監督独特の演出は、本作においても存分に発揮されています。コミカルな場面と緊迫した場面が交互に展開し、観客を飽きさせません。北アルプスの雄大な自然を背景に、青春のエネルギーと人間ドラマが織りなす、忘れられない作品となっています。

まとめ：忘れられない山岳劇

『大学の山賊たち』は、山岳の危険性と自然の脅威、そして人間模様を絶妙に描いた傑作です。コミカルな要素とスリリングな展開がバランス良く融合し、老若男女問わず楽しめる作品となっています。岡本喜八監督の演出力と、個性豊かなキャラクターたちの魅力が詰まった、忘れられない青春活劇をぜひご覧ください。

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